コンピュータが小説を書く日―AI作家に「賞」は取れるか

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コンピュータが小説を書く日―AI作家に「賞」は取れるか

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  • サイズ B6判/ページ数 213p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784532176099
  • NDC分類 007.1
  • Cコード C0034

出版社内容情報

第3回星新一賞で”AI作家”が誕生。その仕掛け人の一人が応募作全文と実作の経緯をつまびらかにし、AIによる日本語の可能性を見AI作家誕生か、と騒がれた“事件"の実相を、当事者が克明に綴る。
袋とじブック・イン・ブック――“AI作家"が一次選考を通過した第3回日経「星新一賞」への、人工知能を利用して作成したショートショート2編を一挙収録!

日本の文学賞で唯一、日本経済新聞社主催の「星新一賞」にしかない応募規定が「人間以外(人工知能等)の応募作品も受付けます」。第3回には遂に一次選考通過作も出たことが明らかにされた。選考過程は明らかにされていないが、2篇を応募した「きまぐれ人工知能プロジェクト 作家ですのよ」所属メンバーらの報告会が2016年3月にあり、国内外のメディアが速報したのは記憶に新しい。これは単なる珍しい話題に過ぎないのか?

文藝春秋7月号の特集「2020年『日本の姿』」で「人工知能作家が芥川賞を狙う」と題してこの話題が取り上げられた。取材を受けたのは「きまぐれ‾」を率いる松原仁・はこだて未来大学教授。松原教授はAIで小説を創作するための3つの要素を「物語生成」「文章生成」「作品評価」とし、今回は「文章生成」機能のみが使用できたことで「まだ人間が八割、AIが二割」と述べた。
本書で著者はこう述べる。「文章生成」がコンピュータにとってはもっともハードルの高い最初の難関だと。たとえば時間・空間・年齢・性別などの情報が明記されている定型文書などは、すでにコンピュータが作れる段階に来ていると言われている。小説がなぜハードルが高いのか、それは時間・空間・年齢・性別などの情報が明かされずに日本語が連関していき、法則性が見えないから。つまり、正解がないからだ。

日本語とAIの関係を通して、人とAIとの新たな関係まで見えてくる。その可能性の萌芽が兆したノンフィクションの好著!

第1章 コンピュータは文章が書けない
第2章 テキストの切り貼りを試す
第3章 構造を導入する
第4章 文章生成器GhostWriter
第5章 『コンピュータが小説を書く日』の舞台裏
第6章 コンピュータは文章が読めない
第7章 応募作品は誰が書いたのか
第8章 応募報告会と反響
第9章 人工知能と創造性
第10章 文章を紡ぐということ
袋とじブック・イン・ブック
第3回日経「星新一賞」応募作品
『コンピュータが小説を書く日』『私の仕事は』

佐藤 理史[サトウサトシ]
名古屋大学大学院工学研究科教授
1960年生まれ、北海道出身。88年京都大学大学院工学研究科博士後期課程電気工学第二専攻研究指導認定退学。京都大学工学部助手、北陸先端科学大学院大学情報科学研究科助教授、京都大学大学院情報学研究科助教授を経て、2005年より名古屋大学大学院工学研究科電子情報システム専攻教授。工学博士。専門分野は自然言語処理・人工知能。主な著書に、『自然言語処理』(分担執筆、岩波書店, 1996)、『アナロジーによる機械翻訳』(共立出版, 1997)、『Rubyで数独?AIプログラミング入門』(近代科学社, 近刊)がある。

内容説明

2016年3月21日、東京都内での「星新一賞への応募報告会」。コンピュータを利用して作成した作品の応募が11件、そのうち代表者が報告会に出席した2つのプロジェクトからそれぞれ2編あり、少なくとも1編が一次選考を通過したと主催者側から報告された。「囲碁の次は小説?」「作家もうかうかしていられない」マスコミが速報し、反響は広く海外にまで及んだ。人工知能が小説を「書いた」?―今回のプロジェクトを発端からクールに精緻に振り返り、日本語で文章を紡ぐことの複雑さを痛感し、AIと創作の関係にまで思いをはせた貴重なメイキングの記録。

目次

第1章 コンピュータは文章が書けない
第2章 テキストの切り貼りを試す
第3章 構造を導入する
第4章 文章生成器GhostWriter
第5章 『コンピュータが小説を書く日』の舞台裏
第6章 コンピュータは文章が読めない
第7章 応募作品は誰が書いたのか
第8章 応募報告会と反響
第9章 人工知能と創造性
第10章 文章を紡ぐということ
第3回日経「星新一賞」応募作品『コンピュータが小説を書く日』『私の仕事は』

著者等紹介

佐藤理史[サトウサトシ]
1960年生まれ、北海道出身。88年京都大学大学院工学研究科博士後期課程電気工学第二専攻研究指導認定退学。京都大学工学部助手、北陸先端科学技術大学院大学情報科学研究科助教授、京都大学大学院情報学研究科助教授を経て、2005年より名古屋大学大学院工学研究科電子情報システム専攻教授。工学博士。専門分野は自然言語処理・人工知能(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ゆかーん

61
ニュースを見たときの衝撃が忘れられず、思わず手に取ってしまいました。AIが小説を書けると聞いて驚きましたが、実際に手を加えたのは「人間が8割、AIが2割」だそうです。細かい話ですが、複数のマニュアルに沿って人間が作り出したプログラムの中から、AIがランダムに選択したデータの組み合わせを小説にした形です。「言語処理能力」が備わっていないAIでは、複雑な日本語の組み合わせで文章を作り出すことは難しく、まだまだ人の手助けが必要なようです。AIが0から小説を作り出すのは、遠い未来の話だということを痛感しました。2017/01/27

(*'ω' *)@k_s

55
市立図書~【星新一賞は人間以外(人工知能等)の応募作品も受け付けます】そこから始まった人工知能を利用した小説執筆までの記録をまとめた一冊です。書き出しや文の選択、脈絡の整合性、それらを全て人工知能に委ね、一つの作品を作り出すことは限りなく…難しい^^;作成過程のアルゴリズムが面白い。大学入試の「現代文」を人工知能に解かせる試みも興味深かった。文脈は読まないし理解もしない。そもそもアプローチの方法が違う。それでいて受験生より偏差値が高いなんてΣ(゚д゚;)~応募作品は袋とじになっています|ω・)チラッ2021/02/07

kaizen@名古屋de朝活読書会

41
#説明歌 生成器言語系には共通の機能だからね小説書ける  人間じゃ判定できないチューリングテスト不可能計算機なら プログラムデータ与えた人作家生成物の持ち主と決め 著作権データ利用時按分の規則を決めよ保護すべきもの 2017/04/13

とち

29
文章を生成するだけなら容易だけど、小説を創作するのは果てしなく難しい。私が生きている間にはまず無理だろう。全脳アーキテクチャが完成すればなんとかなるのかもしれない。2021/03/08

nbhd

21
文章をつくるとはいったいどういうことなのか、根源的なことを問うていてヒリヒリする本だった。星新一賞の予選を通過した”AI小説”の開発舞台裏とそれをめぐる考察をまとめた本。「言葉が伝わるように書く」というポリシーや、マスコミの取り上げ方に対する正直な不満をつらねているところに、理系っぽいナマっぽさがあって、読みをソソる。結論から言うと「人工知能、まだまだイケてないっすよ」ってことなのだけど、この分野の取り組みが進むことで、人間がしっくりくるのとはまったく別の文体が生まれてきそうで、それはたのしみ。2017/04/20

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