出版社内容情報
「中華」の誕生から国民国家としての苦悩の時代まで、グローバルヒストリーの枠組みで考える新しい中国3000年史
内容説明
驚くほど仕事に効く知識が満載!現代中国を理解する最高の入門書。
目次
第1章 黄河文明から「中華」の誕生まで
第2章 寒冷化の衝撃―民族大移動と混迷の三〇〇年
第3章 隋・唐の興亡―「一つの中国」のモデル
第4章 唐から宋へ―対外共存と経済成長の時代
第5章 モンゴル帝国の興亡―世界史の分岐点
第6章 現代中国の原点としての明朝
第7章 清朝時代の地域分立と官民乖離
第8章 革命の二〇世紀―国民国家への闘い
結 現代中国と歴史
著者等紹介
岡本隆司[オカモトタカシ]
1965年、京都市生まれ。現在、京都府立大学教授。京都大学大学院文学研究科東洋史学博士後期課程満期退学。博士(文学)。宮崎大学助教授を経て、現職。専攻は東洋史・近代アジア史。著書に『近代中国と海関』(名古屋大学出版会・大平正芳記念賞受賞)、『属国と自主のあいだ』(名古屋大学出版会・サントリー学芸賞受賞)、『中国の誕生』(名古屋大学出版会・樫山純三賞、アジア太平洋賞特別賞受賞)など多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ひろき@巨人の肩
124
中国全史とは「地球の歴史」と認識できる良本。寒冷地を旅する遊牧民と温暖多湿地域の農耕民が交わる境界に古代中国文明が生まれ、シルクロードを通じ欧州文明と交流。地球温暖化が帝国化を加速し、3世紀に漢王朝とローマ帝国が東西で繁栄。続く寒冷化による民族大移動が群雄割拠の時代に形成。唐王朝が南北機能分離による「1つの中国」を構築。後の温暖化により14世紀の遊牧系・モンゴル帝国へ発展。明以降は欧州、官民の分断が生じ、清王朝滅亡まで民主導の農耕・交易が発達。東西格差が発生。中華と共産主義が官民を繋ぎ現在の中国に至る。2021/07/15
えちぜんや よーた
109
中国史だけを読むと中国は「中華な国」というイメージを持ってしまう。だが視野を広げて見ると漢民族が夷狄と見なした民族や国ともいい感じでつかず離れず付き合っていたことが分かった。むしろ少数民族が支配する王朝(元・清)の方が漢民族に対して寛大で上手く使っていたのではないか?中華にこだわりすぎる王朝(秦・隋・明)の方が矛盾が多いような気がする。ただし中華の建前を捨てて屈辱外交を受け入れたり商売上手な漢民族の王朝(漢・唐)は長続きする。中国史を鑑みると共産党支配の中国がどの程度長持ちするかヒントになると思う。2019/12/13
榊原 香織
102
ざっと中国史を概観。 決して古代から一貫した大中華ではなかった、ということなんでしょう。割と斬新かな、でもテーマが広大すぎて。 モンゴルが目指したのは世界的な経済圏の確立。元寇も、グローバリゼーションの一環だった、というのは斬新。 対して次の明は、朝貢以外を一切禁じた朝貢一元体制というエキセントリックな制度を打ち出した。中華思想の確立ですね2021/03/28
サトシ@朝練ファイト
38
世界史の流れをふまえての中国史のつかみ方、考え方はなかなか参考になるけど1冊にまとめるのは少し無理があるような気がする。2019/09/14
ひよピパパ
36
私たちは(否、私だけ!?)歴史を捉える際、政治史ばかりを見がちだが、この書はその背後にある気候変動や民族の移動などに着目しながら、その歴史のダイナミズムをマクロ的視点で描いている。これまでの中国史通史を概説する書とは一線を画していて面白かった。また、ちょっとした知識ネタが挟まっているのもニクい。(「満洲」は文殊菩薩の「文殊」に由来。地名ではなく種族名。火を連想する「明」朝を意識して両字とも「氵」が付いている。「清」もその一環。など。)得るところ多し。オススメの一書だ。2021/02/01