ちくま文庫<br> コンラッド短篇集

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ちくま文庫
コンラッド短篇集

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  • サイズ 文庫判/ページ数 264p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784480426376
  • NDC分類 933
  • Cコード C0197

出版社内容情報

内容は後日登録

内容説明

自明性への懐疑と不安定な世界感覚。「現代性」を反映するオリジナル短篇集。

著者等紹介

コンラッド,ジョウゼフ[コンラッド,ジョウゼフ][Conrad,Joseph]
1857‐1924。20世紀前半を代表する作家の一人

井上義夫[イノウエヨシオ]
1946年生まれ。現在、一橋大学大学院言語社会研究科教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

藤月はな(灯れ松明の火)

56
表紙はターナーの『奴隷船』であることがこの作品の背景を表しています。噎せ返る様な緑の吐息と湿気の多さ。油断のならない眼をした、教化しても理解が容易にできない異質な「先住民」。真綿で首を絞められるような閉塞感。人間の「蛮性」、「欲望」が寄るべきものがない自然による孤独で剥き出しになっていく中で「文明」や「キリスト教」、「社会性」という自分を象っていたものが虚飾でしかなかったという感覚は鮮烈に迫ってきて悍ましさすらも感じる。特に『文明の前哨地点』での最後は押さえつけてきた文明への人間の蛮性=自然の嘲りを感じる2014/10/16

麩之介

9
「文明の前哨地点」が凄い。「文明」(日本語タイトルのこの言葉には「光」が含まれている)の側に身を置き、それに無自覚に守られてきた二人の愚鈍な白人が、「暗黒」の(と「文明」人のいう)アフリカの奥地に置き去りにされ、次第次第に「闇」に呑まれていくありさまを描いているといえるのだが、彼らを呑みこむ「闇」とは、ほかでもない彼らのいわゆる「文明」の持つ「冥さ」であり、彼らが「暗黒」の他者として考えるアフリカは、それを顕わにする契機にすぎないわけだ。とはいえ、結構笑える話でもある。「え、そんなことで殺し合い?」とか。2014/12/21

壱萬弐仟縁

5
なかなかいいデザインの表紙ですね。巻末訳者解説によると、著者は不定の人生だったようだ(256ページ~)。船の乗組員の話が出てくるので、小林多喜二の『蟹工船』も比較して読むと面白いかもしれない。「必要は発明の母と言うが、恐怖にもまたさまざまな独創を生みだす力がある」(92ページ)との一節は、意味深い。表現として、チンプンカンプンがあるが、これの漢字が「珍紛漢紛」と書くようだ(209ページ)。貧困、流刑、不況・・・そして、家庭教師との旅行(256-7ページ)。評者も家庭教師なので、視野を広げないといけない。2012/12/03

バラナシ

5
国を失った、元船乗り・・・にしか書けない心境が綴られた短編集。「闇の奥」の原型みたいな話もありますね。現代社会においても、古びない鋭さがあります。2010/02/18

刳森伸一

4
コンラッドの短篇小説を5作所収。いずれも読み応えのあるものばかりだが、冒頭の「文明の前哨地点」が頭一つ出ていると思う。社会性を剥奪された男たちを襲う恐怖と怯えが重苦しくも滑稽。特に滑稽だということが怖い。2016/10/23

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