ちくま文庫
薔薇物語〈上〉

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  • サイズ 文庫判/ページ数 517p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784480423450
  • NDC分類 951
  • Cコード C0197

内容説明

フランス中世アレゴリー文学屈指の巨篇にして文学的知の百科全書、待望の文庫化。さわやかな五月の朝、夢に誘われて“悦楽の園”に迷い込んだ“わたし”は、ナルシスの泉にひざまずき、水底に映った一輪の薔薇の蕾に魅せられる。“愛の神”の矢に射抜かれて臣下となった主人公が、おびただしい寓意人物たちと出会い、ついに愛を手に入れるまでを、のびやかにして学識あふれる訳文で贈る。読売文学賞研究・翻訳賞受賞。

目次

『薔薇物語』前篇(“悦楽”の園;ナルシスの泉―“愛の神”の教え;薔薇の蕾をめぐって)
『薔薇物語』後篇(“理性”の勧告;“友”の忠告;“愛の神”の軍勢―“見せかけ”の弁明)

著者等紹介

ロリス,ギヨーム・ド[ロリス,ギヨームド]
13世紀始め、オルレアン近くのロリスに生まれたといわれる謎の人物。『薔薇物語』前篇の作者

マン,ジャン・ド[マン,ジャンド]
ロワール河の畔、マン出身の「知識人」、『薔薇物語』後篇の作者。没年は1305年か

篠田勝英[シノダカツヒデ]
1948年生まれ。東京大学大学院博士課程修了。白百合女子大学教授。『薔薇物語』で、読売文学賞研究・翻訳賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

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mint

7
中世フランスのアレゴリー文学の傑作。女性を薔薇に擬して、それを巡ってたくさんの寓意人物が出てくるという体裁で、恋愛心理を説く。前編は180ページ程度で宮廷風恋愛について書いているが、後編はその4倍程の分量。まぁものすごく長い!いろんな人物の説教を通じて作者の持てる知識を思う存分ひけらかしている。恋愛から脱線したテーマについて長々と語ったり、後編の作者はかなりやりたい放題。下巻も結構分量あるが、何をそんなに語っているのか…。2015/11/22

roughfractus02

5
偶像崇拝を禁じたユダヤ=キリスト教では、活喩は見えないものを人に譬え偶像を作る比喩であり、この修辞を乱用すると猥雑な異教(古代ギリシャ)的内容を連想させた。修辞を駆使して言葉に言葉を重ね、抽象的象徴や他のメッセージを含む寓意を用いれば別の世界を作る危険があった。一方、中世は教会の支配の届かぬ民衆文化が多く存在した。恋愛の技法を披露し教訓も加えた本書は、八音綴の平韻という形式を守りながら、夢の中という枠を借り、ラテン語に似て異なる中世フランス語を用いて、擬人化した諸感情が若者と語る中世の異文化的交流を描く。2019/10/21

Yuki

2
前半のみ読了。13世紀の仏文学。後半は別の作者が書いたもの。アレゴリーというジャンル。登場人物の名前が「嫉妬」や「歓待」で、イメージも新鮮ですが、含みのありそうな感じが印象的。時間があればしっかり読んでみたいです。厚い本ですが半分以上は注と図版。2017/10/29

AR読書記録

2
部分的に,かもしれないのですが,博学の著者が持てる限りの知識を尽くして女性を罵りながら,かつその落とし方を説いている本,とも読めなくもない... 「フランス中世アレゴリー文学屈指の巨篇にして文学知の百科全書」なのに.失礼.下巻がまだなのであれですが,女性側からの返歌(クリスティーヌ・ド・ピザン『薔薇のことば』)が書かれるのも納得ではあります.しかし,上巻けっこう衝撃的な場面で終わってますので,下巻も読まざるを得ないな.2012/02/20

みにゃー

0
ロリス部分が思ったより少なくてびっくりした。時代のせいだが、登場人物が話しているうちに作者の考えが暴走して何言ってるのかわからなくなることが多い。 前半は表現がかなり美しい。後半は冗長だがまぁ読めるし、現代に通じるところもあって面白い。2017/09/06

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