ちくま学芸文庫
リキッド・モダニティを読みとく―液状化した現代世界からの44通の手紙

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  • サイズ 文庫判/ページ数 287p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784480094841
  • NDC分類 361
  • Cコード C0136

内容説明

「リキッド・モダニティ」という概念で後期近代の本質を鮮やかに析出し、現代社会学に新たな地平を拓いた碩学が、身近な出来事や事件、世相から“液状化社会”の具体相を解明する。長いあいだ変わらぬ“確かなもの”などもはや何一つない現代世界。親子や友人、異性との関係の劇的変化、不況と格差、教育問題、地球環境、健康と病気、流行…。一見バラバラでとりとめのない事象の根底に、著者はある通奏低音を聴きとり、時代の困難を直視しつつ、よく生きるための道を模索する。広く一般の読者に向けて平明に綴った、真摯で痛切な社会学的エッセイ。新訳・文庫オリジナル。

目次

手紙を書くということ―液状化した近代世界から
群れあう孤独
親子の会話
オフライン、オンライン
鳥のごとく
バーチャル・セックス
プライバシーの奇妙な冒険
親と子
十代の消費
Y世代をストーキング〔ほか〕

著者等紹介

バウマン,ジグムント[バウマン,ジグムント] [Bauman,Zygmunt]
現代社会学界を代表する理論家。1925年ポーランドのユダヤ人家庭に生まれる。ナチス侵攻によりソ連に逃れ戦後帰国。軍務につくも反ユダヤ主義的風潮のなか強制除隊、のちワルシャワ大学教授となるが反体制的知識人として同大学を追われる。テルアヴィヴ大学教授等を経て、71年英国リーズ大学教授。現在同大学・ワルシャワ大学名誉教授。アマルフィ賞、アドルノ賞受賞

酒井邦秀[サカイクニヒデ]
1945年生まれ。一橋大学社会学部博士課程中退。電気通信大学准教授を経て、現在翻訳家、「NPO多言語多読」理事長(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

壱萬弐仟縁

35
2010年初出。生活世界:いま暮らしており、これまでも暮らしてきた世界。個々に経験する世界(031頁一部傍点)。ホドソンの使い捨て即席満足文化:まだ普遍的とは言えないが急速に普及中(040頁)。ジンメルが言うには、人間らしい最低限の生存を確保するには、秘密の保持を他人に認めてもらわなければならない。秘密はプライバシーと同時に、 社会的関係(傍点050頁)。液状化段階では、文化は 個人(傍点) の選択の自由に合わせて作られる。文化は そもそも(傍点) 自由に使える。2016/05/08

kthyk

21
70年代の五月革命・大学闘争はモダニズム美学の終焉。そして現在、新自由主義とグローバリズム経済社会のもとのニヒリズム。相対主義、反メタナラティブ、しなやかさ、パティッシュ、ダブルコーディングの液状化社会。著者はその状況を、スマホを持ち情報の流れに漂う、船乗りの44の物語として固体社会の農夫である我々に贈る。コロナ禍とウクライナ侵攻の不安世界。最後の物語はカフカを惜しんだカミュ。永遠に答えのない疑問に答えを出してしまおうとする誘惑を退け、読者にいつまでも疑問を抱かせ続けること。「我抵抗するゆえに我らあり」。2022/03/07

波 環

4
色褪せない文化論とはこのことかと思わされる 権力、恐怖、文化など人間が持ち続ける概念について普遍的な解釈を、現代は液状化して不明瞭な状態である前提で述べていく。 なんでか思い出したのが般若心経で、空というのは液状化した世界のことを言っていたのかな?そんなわけないか2022/02/27

なっぢ@断捨離実行中

4
確からしいものが失われ液状化していくポスト近代社会の中でいかに生きるべきか――と書いてしまうと過剰に深刻ぶって不安を煽りたがるアジテーターばかりの日本の社会学者がどうも思い浮かんでしまうが、バウマンの筆致は軽く、現状認識の鋭さと事態の深刻さの割りには淡々としている。テーマごとに短く区切られているので非常に読みやすい。その時々で興味のあるトピックに当たるのが正しい読み方だろう。2016/08/28

田中峰和

3
2000年にリキッド・モダニティという現代社会を読み解く概念を提唱した著者。封建制や身分制社会が液状化し、続いてコミュニティや家庭まで液状化してしまった現代。固定化した社会から液状化した社会への移行を44通の手紙という手法で解説している。テーマ別のタイトルで中身がわかるエッセイ集なので、興味のあるテーマだけ読むことにする。85歳を超えた高齢の著者が無理に書いている部分は痛々しい。「バーチャル・セックス」のエッセイで、オンラインのデートサイトを紹介する部分など、ここまで迎合して書くことも無いだろうと感じた。2014/09/04

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