出版社内容情報
10年以上にわたる克明な調査を基に、競争戦略論の大家が、通説を覆す日本企業のための競争戦略論を提示する。
内容説明
戦略を構築する際に唯一信頼できる指標は、収益性である。この目標を達成するためには、日本企業は経営に対する価値観を根本的に転換する必要がある。企業の成功、すなわち経済的価値、顧客への価値、さらには社会的価値を生み出しているかどうかを測る際には、投資に対する収益性を確保しているかどうかが最終的な判断材料とならねばならない。資本は貴重な資源であり、効率的に運用しなければならない対象として考えるべきである。そして、企業やマネジャーの名声や評判は、事業規模ではなく、戦略の独自性に基づくべきである。日本企業は、1960年代から80年代にかけて編み出してきたQCや統計管理手法の“現代版”を積極導入する必要がある。その取り組みにおいては製品の品質改善や生産性向上に傾けたのと同程度の情熱を注ぎ込まなければならない。経営学界の第一人者が10年の調査・研究を基に初めて著す日本企業のための戦略論。
目次
第1章 国際競争力の日本型モデル
第2章 日本型政府モデルの再考
第3章 日本型経営の再検討
第4章 日本の競争力の原泉
第5章 日本はいかにして前進すべきか:政府への課題提言
第6章 日本企業を変革する
第7章 日本は競争できるか
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
116
マイケル・ポーター著作については現役のときにかなり、読みこみました。当時としては競争戦略自体が珍しく、さまざまな場面での競争があるということを教えられました。この本では、日本型企業の強みと弱みがかなりはっきりと分析されています。外国人が分析するとかなり鋭い指摘が出てきますね。2016/05/17
Yohei
6
★★★★★『日本には戦略がない』と評したポーターの日本企業のための戦略論。2000年出版だが、いまだに著者の提案を受け入れられていない。カイゼンは確かに優れているが、ベンチマークによる模倣と品質コストの継続的改善、製品のフルライン化は戦略でないどころか、自らの首を絞めることになると指摘。多角化や海外進出は低成長の課題のすり替えであり、真の問題は『競争する道を選択するか?』にかかっているという著者の結論に納得。2014/06/11
茶幸才斎
4
戦後の日本経済の成功要因は、競争を制限する国の協調型経済政策にあったとする従来の通説は誤りで、成功企業と政府政策の間に相関はなく、日本が元来得意とした優れたオペレーション効率に加えて、明確な経営戦略を持った企業こそが、市場競争を通じて成功してきたと論じ、企業と政府に対し、品質向上から戦略やイノベーションを軸とした競争への転換、対応を促している本。要因がどこにあれ、日本が戦後の復興を果たした業績は大きいが、もはやそれは先人たちの功績であって、我々の手柄ではない。過去を驕らず、今ある現実を捉え、知恵を尽くせ。2017/03/19
まめタンク
3
2020年147冊目。たぶん、村上世彰さんの「生涯投資家」よりも企業のあり方としてはしっくり来ます。ポーター教授が言うには、日本は政府によって成功した部分もあるけれど、失敗した部分もある。けれど、良い部分もあるので、それは生かした方がいい。日本企業や日本全体が衰退しているのは根本的には企業経営があまり上手く行ってないから(利益率が低い)からだ!という事です。会社四季報や決算書を読めば分かりますが、未だに、その分野なコングマリッド的な会社は日本には多いです。あと、本業より不動産が儲かってる会社とか、、。2020/03/28
Kazuya
3
国家レベルでの経済市場を視野に入れた競争戦略に関するビジネス書。これまでの日本的経営に警鐘を鳴らすと共に、今後10年先を見越した場合に日本がとるべき経済的戦略に関する示唆を与えてくれている。刊行が2000年の本なので昨日占いみたいな楽しみ方もできた。同じテーマで今を語る本があれば読んでみたいと思う。172010/06/02