内容説明
日中両国の農業の危機を克服するため、投資ファンドを設立し黄土高原で村興しを始めた大塚草児。一方、草児の後見人、宮崎善幸が社長を務める総合飲料メーカー・六甲酒造は、欧州穀物メジャー・オレンジサントの乗っ取りの標的となっていた。村興しの成否は?乗っ取りは回避できるか?日中の架け橋となる壮大な物語。第3回城山三郎経済小説大賞受賞作。
著者等紹介
深井律夫[フカイリツオ]
1966年兵庫県生まれ。大阪外国語大学中国語学科卒業。上海復旦大学に留学。銀行勤務。『黄土の疾風』で第3回城山三郎経済小説大賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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まつうら
32
サントリーに着想したと思われる総合飲料メーカーを舞台とした買収攻防ながら、中国農業の危機が繰り返し語られるシーンにとても目がひかれる。農民の疲弊が農地を疲弊させる悪循環が起こっていて、かつての日中戦争はこの延長線上に起こったのだというフレーズにとても迫力を感じた。しかし、GMOや麻薬取引だけならまだしも、少数民族問題や非言語ドキュメンタリーにまでテーマを広げてしまっているので、無理やり畳み込んで結末に持っていった印象。赤い雪の降るシーンがクライマックスと思われるが、どこか消化不良に終わってしまった。2022/04/17
tekutekukiyo
5
日中両国の農業問題に穀物メジャー、中国の経済法等を絡ませていて、大変面白く読ませていただきました。次の作品が楽しみです。2018/02/19
うめけろ
5
これ、かなり面白かったです。小説なんだからご都合主義もOK!一つだけ難を言えば、女優がどっぷりとこんな事業にのめり込めるかいなってところですが、達也のバカボン振りも徹底されていて良し、悪役ファンドも見事な悪役振りも良し、そして最後に草児の洞察がすべてを解決するのには爽快感がありました。2012/08/11
ろーれる
4
中国の農業の現状はよく分かる作品だった。 それにしても、達也はどうしようもない素人、ただ隣の芝を見ている。 食料よって、戦争は起きる。これは真理だと思った。2011/09/06
紫夏
3
久々に泣けた。大地の子を思い出してしまった。同じ中国を舞台とした小説。「覇権通貨」、「中国のエリートは実は日本好きだ」、「黄土の疾風 」によって、中国に対する見方が大きく変わった。報徳学園、ウトマンニポポ、ショパン夜想曲ノクターン2015/05/25