食の終焉―グローバル経済がもたらしたもうひとつの危機

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食の終焉―グローバル経済がもたらしたもうひとつの危機

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  • サイズ B6判/ページ数 541p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784478007471
  • NDC分類 611.3
  • Cコード C0036

出版社内容情報


高度な食料経済の構築により、農産物や食肉、加工食品を一年中どこでも買えるようになった。しかし、低コスト・大量生産モデルを世界的規模に拡大することで、私たちはその恩恵だけでなく、負の要素も世界中に広めてしまった。その負の要素とは何か、このシステムは持続可能なのか、膨大な取材をもとに明らかにする。

【目次】

プロローグ

食経済が抱える矛盾
破綻の兆候
限界を迎える食料生産能力
航図なき食の未来
本書について

第1部 食システムの起源と発達

第1章 豊かさの飽くなき追求

食の起源
農業と文明の始まり
マルサスの予言
人口増加と食のグローバリズム
化学肥料の登場
アグリカルチャーからアグリビジネスへ
食料生産の近代化が変える社会
勝利の代償

第2章 すべては利便性のために

ネスレの戦略
付加価値による差別化
市場を支える新製品
フレックス・イーティングがもたらす変化
添加物が可能にした大量生産
外食産業との戦い
ブランド価値の下落
成長の可能性を秘める新興市場

第3章 より良く、より多く、より安く

スーパーマーケットの反乱
小売業界を変革したウォルマートの功績
農作物に見るサプライチェーンの変革
鶏肉産業の犠牲者
一極集中化する食肉産業
畜産効率化の副作用
淘汰の果てに待つもの

第4章 暴走する食システムと体重計の目盛り

肥満化する人類
体重増加が招く健康リスク
自然進化の終点
大量摂取される高カロリー原料
スーパーサイズ化戦略
洗脳される消費者
大量低価格システムの副作用

第2部 食システムの抱える問題

第5章 誰が中国を養うのか

比較優位の原則
国家安全のための農業保護政策
自由化への転換とその失敗
制度化された過剰生産
中国農業の脅威
食の力関係を変えたワシントン・コンセンサス
多国籍企業のための食料貿易の自由化
食料貿易の自由化がもたらすリスク
「自由」を管理するアメリカの事情
中国という爆弾
新参国を育てる中国需要
激変する食糧市場のパワーバランス

第6章 飽食と飢餓の狭間で

アフリカの農業生産者の憂鬱
中南米、アジアを発展させた「緑の革命」
アフリカの誤算
原因は土壌有機物の枯渇
コーヒー豆に見る過剰供給構造
輸出先導型農業の限界
広がる大規模農家と小規模農家の格差
自由化された食経済に伴うリスク
食料安全保障システムの崩壊

第7章 病原菌という時限爆弾

高まる汚染食品の拡散リスク
環境に鍛えられ毒性を増す病原菌
病原菌への政府の対応
HACCPシステムの限界
消費者頼みの病原菌対策
止められない汚染経路
困難な生鮮野菜の殺菌
自主規制のコストパフォーマンス
鳥インフルエンザの恐怖
大流行のXデー
安全より圧力で解決を図る中国

第8章 肉、その罪深きもの

飼料となる穀物生産の限界
飼料効率化の限界
増え続ける世界の食肉消費量
鈍化する収穫量
肥料の原材料と土地の不足
土中窒素の流出問題
農薬という麻薬
外部費用の顕在化
石油の限界が意味するもの
地球温暖化がもたらすリスク
深刻化する水資源不足
間近に迫る破たんのXデー

第3部 食システムの未来

第9章 遺伝子組み換えかオーガニックか

遺伝子革命の誕生
旧来型品種改良の限界
社会的要素としてのオルタナティブ農業
オーガニック産業と遺伝子組み換え支持者の戦い
遺伝子組み換え商品は安全か?
種子の特許保護と種子産業の統合
遺伝子組み換えでは解決できない開発途上国の問題
工業農業化するオーガニック農業
農業への新しい考え方が未来を変える

第10章 新しい食システムを求めて

持続可能な食システムへの乗り換えに必要なもの
古野の循環式生産モデル
複合農業回帰を阻むもの
持続的農業の成功例
脱「仲介業者」の成功条件
地産池消のメリット・デメリット
消費者心理というハードル
食料政策の現実
助成金の功罪と食の未来

エピローグ

Xデー
キューバの成功
地域重視の食システム
青の革命
肉の需要を減らせるか
「食」を自分の手に

訳者解説


原註


参考文献

内容説明

食の巨大なサプライチェーン、その裏で今、何が起きているのか?豊かさをもたらすはずのシステムが人類を破綻に陥れる。圧倒的な取材力で真実を描き出す問題作。

目次

第1部 食システムの起源と発達(豊かさの飽くなき追求;すべては利便性のために;より良く、より多く、より安く;暴走する食システムと体重計の目盛り)
第2部 食システムの抱える問題(誰が中国を養うのか;飽食と飢餓の狭間で;病原菌という時限爆弾;肉、その罪深きもの)
第3部 食システムの未来(遺伝子組み換えかオーガニックか;新しい食システムを求めて)

著者等紹介

ロバーツ,ポール[ロバーツ,ポール][Roberts,Paul]
ジャーナリスト。ビジネスおよび環境に関する問題を長年取材。経済、技術、環境の複雑な相互関係を追求している。ワシントン州在住

神保哲生[ジンボウテツオ]
ジャーナリスト/『ビデオニュース・ドットコム』代表。1961年東京生まれ。国際基督教大学(ICU)卒。コロンビア大学ジャーナリズム大学院修士課程修了。AP通信などアメリカ報道機関の記者を経て1994年独立。以来、フリーのビデオジャーナリストとして日米を中心とする世界各国の放送局向けに映像リポートやドキュメンタリーを多数提供。2000年、日本初のニュース専門インターネット放送局『ビデオニュース・ドットコム』を設立し代表に就任(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

姉勤

25
考えがまとまらない。それほど大きすぎる問題が現在進行形で拡大している。「人間は、おいしく、安全で、安く、高品質のものを食べる当然の権利がある」。本書の読後、なおハッキリいいきれる人がいたら余程の詐欺師か、あるいは救世主だろう。何を言ってるか本書を読めば、同感を得られると思う。それほど本書の内容はシリアスだ。世界を動かしているといっても過言ではない「肉食」と云うシステム。そのシステムが大地を疲弊させ、病原菌をまき散らし、国々を混乱させ、環境を破壊した後、ついに人類は飢えてきえるだろう。楽天的な自分でも戦慄。2014/01/22

James Hayashi

20
想像はしていたがショッキングなタイトルにショッキングな内容だった。人類の進化とともに食の変遷と歴史など語られ出し、大企業による大量生産と生産者たちへの買い叩き。飽食化する人類に、大きさや成長の早さもコントロールし生産性を上げるが、それに伴い新たな病原菌の発生などネガティヴな面も拡大。人口増加に遺伝子組み換えなども語られるが、解決策は見えてこない。食の取り合いと大企業の企みで値段の高騰化がはっきり見えてくる。2016/04/24

UK

16
うわぁ。食欲をなくすような事実が次々と暴かれる。高度に構築された商業食物のシステム。安さと利便性を提供する代償に、世界各地の零細企業と食文化を破壊して均一化していく。鶏・牛・豚も食肉製造マシンとして、遺伝子操作され、餌と生育環境を高度に最適化されて不気味な肉の塊となる。激増する世界人口に対して、旧来の生産効率では食物が絶対的に不足する。破綻に向かって絶望的な加速をしているのか、はたまた人類の英知はこの矛盾を打開できるのか。世界の抱える食物の矛盾の一端を示されただけだが、近未来への懸念を抱くには十二分。2014/04/08

ジュール リブレ

16
世界90億人、そして、肉食化、いつまで、人は食べることが出来るのか。ルポライターらしく、緻密なファクトを、まとめた本。迫力あり。ただそこから先をどうするか、答えの出ていない問題だけど、そこで出てくる仮説が惜しい!2013/12/05

おおにし

16
食システムとは食料の生産・流通・消費を相互に影響する1つの大きなシステムとして考えること。我々が食するものはすべてこの食システムによって届けられるといってよい。より良く、より多く、より安くという食物に対する人類の過大要求によって食システムはグローバルに成長を続けたが、最早その限界にきている。異常気象、病原菌、人口爆発などで食システムはいつ崩壊するかわからない。今更食システムに依存しない自給自足生活に戻ることは不可能だが、何もしなければ確実に危機は訪れる。我々に食に対する意識変革を迫る一冊だ。2013/10/20

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