出版社内容情報
近代化の波を受けた京都の伝統産業に新たな活路を見出していった「図案教育」の軌跡を、さまざまな作品と資料で辿ります。明治期、殖産興業政策の一環として重要視され、日本の主要な輸出産業であった工芸。京都の地場産業では工芸の近代化を図るため、「図案(デザイン)」が初めて教育機関に導入されました。その両翼を担った京都市立美術工芸学校(現京都市立芸術大学)と京都高等工芸学校(現京都工芸繊維大学)には、指導者として関わった神坂雪佳、浅井忠、武田五一をはじめ、関係者や生徒らによる多くの作品・資料が残されており、当時の京都における図案教育の様子を伝えています。それらの作品紹介を中心として、教育現場内外に関わるトピックについてのコラムを織り交ぜながら、京都における近代(明治・大正・昭和期)のデザインの流れを辿ります。京都工芸繊維大学美術工芸資料館において2016年初夏に開催の展覧会(6月20日~8月5日)の図録を兼ねた書籍。
並木誠士[ナミキセイシ]
松尾芳樹[マツオヨシキ]
岡 達也[オカタツヤ]
内容説明
近代化の波に直面した伝統の都で、新時代の「図案」開発により、工芸・産業界の復興を目指したデザイン教育70年の軌跡をたどる。京都市立芸術大学・京都工芸繊維大学所蔵品を中心に、図案作品200点以上を収録。
目次
序章 図案からデザインへ
第1章 図案教育草創期
第2章 浅井忠・武田五一と神坂雪佳
第3章 “倣う”から“創る”へ
第4章 学業から職業へ
終章 今日における「図案」の意味
著者等紹介
並木誠士[ナミキセイシ]
1955年、東京都生まれ。京都大学大学院文学研究科修了。徳川美術館学芸員、京都大学助手、京都造形芸術大学助教授を経て、京都工芸繊維大学大学院工芸科学研究科教授・京都工芸繊維大学美術工芸資料館館長。2004年~2008年放送大学客員教授
松尾芳樹[マツオヨシキ]
1959年、長崎県生まれ。京都市立芸術大学大学院美術研究科修了。在学中は絵画模写を学ぶ。現在、京都市立芸術大学芸術資料館学芸員。日本文化史を研究分野とする
岡達也[オカタツヤ]
1982年、岡山県生まれ。京都工芸繊維大学大学院工芸科学研究科博士後期課程造形科学専攻修了。現在、京都工芸繊維大学美術工芸資料館勤務。グラフィックデザイナーとしても活動中。受賞歴:第150回記念日図創作図案総合展グラフィック部門京都織物卸商業組合賞(2013年)、Graphic Design Festival Breda 2014 Poster Ploject Winner(オランダ/2014年)、第152回日図展京都商工会議所会頭賞(2014年)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。