内容説明
古建築とトップランナーの作品からみる「超時代的・空間論」集。
目次
日本的な「関係性の建築」の時代へ(隈研吾)
第1章 内と外の曖昧な境界
第2章 柔らかな境界
第3章 聖と俗、ハレとケの境界
第4章 「見立て」の境界
第5章 風景の中の境界
第6章 現代の境界
著者等紹介
隈研吾[クマケンゴ]
1954年横浜生まれ。1979年東京大学建築学科大学院修了。コロンビア大学客員研究員を経て、2001年より慶應義塾大学教授。2009年より東京大学教授。1997年「森舞台/登米町伝統芸能伝承館」で日本建築学会賞受賞、同年「水/ガラス」でアメリカ建築家協会ベネディクタス賞受賞。2002年「那珂川町馬頭広重美術館」をはじめとする木の建築でフィンランドよりスピリット・オブ・ネイチャー国際木の建築賞受賞。近作にサントリー美術館、根津美術館
高井潔[タカイキヨシ]
1938年東京生まれ。日本大学芸術学部講師、日本写真協会理事、日本写真家協会会員。1974年日本写真協会賞新人賞・1999年日本写真協会賞年度賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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コットン
76
ねっしーさんのオススメ本。近代建築に影響を及ぼした日本、その日本建築のいろいろな空間を切り取って紹介されている本。副題の世界を変える日本の空間操作術とある通り「通り庭」と「坪庭」や二間・三間続きの「襖」のある空間が素敵です。最終章は現代建築が紹介されていてとりわけ隈研吾の根津美術館が竹垣と竹壁に挟まれた空間で日本建築の良質な部分を継承しているように感じました。2015/07/25
mura_海竜
50
【読みたい本読了】日本文化、特長を持つ『境界』の概念、それを形式として建築に積極的に取り入れてきた日本人。本当に素晴らしいと感じる。柔らかく、やさしく仕切る。テーマごとの美しい写真と機能の解説。関守石(せきもりーいし)、良い感じ。しかし、圧倒的で暴力的な工業化の波により、そのほとんどが都市では見られない。別の形でもよいので仕切りの復活を信じたい。隈さんは一度仕事をご一緒させていただいたが、格子など和の表現を取り込むのが上手な建築家の一人と思う。図書館本。2016/02/27
とりあえず…
33
日本建築の姿勢をわかりやすく、美しく著わした素敵な一冊。他者を拒まない曖昧なグラデーションの境界をもつ日本の建築。それすなわち日本人の心。古き良き日本人の心に出会えました。 本作より『(日本の建築は)恩恵と苦難、双方を受け入れる姿勢。飼い慣らす気など毛頭ない、自然への畏怖の念が表出する。 』2015/09/15
izw
18
近代建築の3巨匠のひとりフランク・ロイド・ライトが衝撃を受けた日本の建築に見「られる「境界」に焦点をあてて紹介している。「内と外の曖昧な境界」「柔らかな境界」「聖と俗、ハレとケの境界」「「見たて」の境界」「風景の中の境界」いずれも日本の伝統的な建築に見られ、開かれた空間に自然に作られる「境界」である。最後の章は「現代の境界」として、根津美術館、House N、KAIT工房が紹介されている。日本の伝統建築における「境界」、それを受け継ぐ現代建築家による「境界」が堪能できる。2015/12/20
nbhd
13
和建築は境界だらけだ。<内と外の曖昧な境界>窓、蔀戸、格子、犬矢来、垣根、塀、門、玄関、土間・三和土、通り庭、縁側、軒、壁、屋根、欄間、鞘の間、はとば、<やわらかな境界>暖簾、簾、襖、障子、屏風・衝立、<聖と俗、ハレとケの境界>床、神棚、枝折戸、躙口、茶室、沓脱石、飛び石、御手洗、手水、鳥居、注連縄、階段、白砂壇、<見立ての境界>関守石、みせ、石碑。/隈研吾「水というのは普通やわらかいものだと思っているけれども、高いところから水の中に飛び降りたらとても硬い」2017/08/31