出版社内容情報
文字の役割、表音文字と表意・表語文字、表音の種類、歴史、文字使用の心理などを総合的に扱った文字の言語学の入門書。
内容説明
言語を書き表す体系としての文字について、その役割、表音文字と表意・表語文字、表音の種類、歴史、文字使用の心理、文字の社会言語学などを総合的に扱った文字の言語学の入門書。インターネットによって文字によるコミュニケーションが飛躍的に増えていることもあり、文字の実際的な重要性は増し、文字とそれによる書き言葉は、言語の本質に影響を与えるものと考えられるようになってきた。本書はこうした観点から、アジアの主要言語に通じた著者ならではの豊富な事例を挙げながら、現代の文字論をわかりやすく俯瞰する。
目次
文字とは何か
基本的な選択肢・意味と音
表語文字
音節文字
単音文字
子音と母音
母音記号の結合
分析と解釈
混合文字体系
文字の歴史
文字の心理言語学
文字の社会言語学
著者等紹介
斎藤伸治[サイトウシンジ]
昭和37年、山形県南陽市生まれ。昭和61年、文学修士(言語学(英語学))(筑波大学)。平成元年、筑波大学大学院博士課程・文芸言語研究科言語学(英語学)専攻・満期退学。奥羽大学文学部専任講師、岩手大学人文社会科学部専任講師を経て、岩手大学人文社会科学部教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Koning
15
文字の言語学的なあれこれ。意味と音あたりから始まってロゴグラムかイデオグラムから音節文字にアルファベットときてインド系諸文字なんかにも触れて漢字とかなにも言及する。ただこの辺の系統も概ね分かっているメジャー文字系統にページを割いたけれど、メソアメリカ諸文字やアフリカの文字はほぼスルー。楔形文字も原図がアレなものを持って来ちゃったり、新アッシリア文字にシュメール文字とか書いちゃうのはちぃとしょぼん。2014/04/29
gorgeanalogue
13
体系的で理論的なアプローチが非常に啓発的で面白かった。ただし特に音韻論は私は苦手で、少し飛ばしてしまった。「文字の心理言語学」での認知の問題、「書くこと」の機序、終章「文字の社会言語学」での「ダイグラフィア」の概念、文字改革についての概観について、ここに書かれている以外にもおそらく今後まだまだ多くの理論的な展開、問題が生じてくるのだろうと思わされた。一方で文化史的な側面は手薄といえば手薄で、文字の神秘的・宗教的な側面(カバラとか)、フェティシズムなんかにも触れてほしかったという気もする。2021/12/09