内容説明
夏の夜、深い森の中にくりひろげられる妖精たちの幻想にみちた魔術の世界。2組の男女のおりなすロマンチックな恋模様。これは、日本でももっとも人気のある喜劇のひとつにかぞえられる。斬新な対注形式、各幕場あらすじつき。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
てれまこし
12
シェイクスピアの時代の人々にとっては、最近のような天候不順は宇宙的秩序が乱れている徴だった。これをエロチックな愛の力を回復することによって(要すれば邪魔物を抹殺して)治癒する。もつれた男性と女性の関係が調和にもたらされることにより、宇宙の秩序が回復する。そういう民衆の世界観がこの喜劇に見てとれる。妖精の王オベロンに仕えるパックは、神のメッセンジャーとしてあの世とこの世を往ったり来たり大活躍する。敏速で神出鬼没というヘルメス的要素をもち、人を騙して喜ぶ意地悪さをもっている一方で、恩恵も与える悪魔であり道化。2023/02/14
ノイス
3
左の頁に原文が、右の頁に表現の大まかな対訳集がついており、更に前置きに作品概要や現代までの取り扱われ方、後書きとして内容解説が書かれ、しかし本文の和訳自体は存在しないという中々面白い構成の一冊。とはいえ表現の英訳集ではかなり細かく補足されており、ある程度英語が読めれば解釈に困る場面は少ない。最もそこには、400年以上前の作品でありながら、韻を踏みつつも分かりやすい表現を詰め込んだシェイクスピアの文才に依る部分も多いか。シェイクスピアは初めて読んだが、成る程現代まで受ける魅力が感じられる。2017/05/04
鈴と空
1
2006年以前