内容説明
植民地の後遺症、多様な少数民族と文化・宗教、エスニシティをめぐる紛争、人権や民主主義のあり方…多文化・多民族アジアに国民国家への道はふさわしいか。アジアの歴史と現状を見つめ、可能性を問う。
目次
序 国民国家とアジアの現在
1 飼い慣らされるエスニシティ、暴力化するエスニシティ―現代インドネシアの民族と国家
2 東南アジア島嶼部における港市とエスニシティ
3 多民族国家マレーシアにおける国民統合
4 複合移民社会の国民統合―シンガポールの場合
5 タイにおける国民国家―歴史と展望
6 ドイモイと文化の変化―変わるベトナムと少数民族
7 植民地支配の歴史を越えて―未来への投企としてのフィリピン・ナショナリズム
8 中国の国民統合と「中華民族」
9 今日のヒンドゥー教とメディア・テクノロジー
10 国民国家の成立とアジア映画―マレー半島における映画製作事例から
シンポジウム「アジアの中の日本・日本の中のアジア」
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ひつじ
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現代の国家、特にこの本では東南アジア諸国について書かれているけど、どの国も「国民統合」に向けて腐心しているのだなぁと思える本。植民地支配から独立を果たしたアジア諸国の多くが抱える多民族性による問題。彼ら複数の民族に何かしらの共通項を与え、それを称揚することで国民の統合を目指す国もあれば、各々異なる民族を「~人」という「民族」とはまたレベルの異なる枠組みで包み込み、人々に認識させることで統合を目指す国も。傍から見てる分には、それは滑稽なさまに見えるかも知れない。自分にはなかなか難しい本でした。2011/08/08