出版社内容情報
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高野雀[タカノスズメ]
著・文・その他
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
shikada
20
2巻で完結。打ち切りなので駆け足で終わった感じはあるけれど、濃密な2巻だった。憎い相手を殺したい欲求と、実際に殺す行動との間には溝がある。その溝を飛び越えやすくする道具(=拳銃)を手に入れてしまった彼女たちの葛藤が丹念に描かれていて、読み応えがあった。彼女たちは、自身の怒りや憎しみをよくよくのぞき込んで「これは本当に殺意か」「殺して解消されるものか」と考える。世知辛いし報われない、この寒い世界で、それでもなんとか彼女たちは生きていく、わずかに希望が見えるエンディングだった。2020/02/11
有理数
14
作者の思う通りの長さまで物語が紡げなかったとはいえ、しかし、そう聞かされなければ、これはこれで綺麗な終わり方だったのかもしれない、と思う。拳銃を手にした女子高生たち。その引き金を引くに至るまでに、どんな歩みがあり、そしてもし撃ったとしたらどんな歩みが始まるのか。その渦中で、確固たる信念、あるいは戸惑い、苦悩が見え隠れする。それでも互いに行動し、願いや想いを確かめ合って、認め合って、静かに、そして丹念に歩き出そうとする。そんな6人の空気感や関係、交わされる言葉たちは、いつも、とにかく魅力的に映った。2020/11/05
Schunag
9
口と性格が悪い(と世間は言うであろう)女の子たちが主人公のシスターフッド青春ノワールの傑作、完結。たしかにloose endになってしまった伏線もありますが、事情を知らずに読めば、打ち切り感や駆け足感は感じないのではないかと思います。もともと大長編を書くというよりドライに必要十分な物語だけを書く印象のひとですし、これまでの作品も無駄に閉幕をひっぱらず、そっけないくらいキレイに物語を断ち切る潔さも魅力だったので、違和感なく完結していると思うのです。口と性格の悪い女の子が好きなひとは必読。2019/04/26
みやしん
6
「殺してえ」思春期ならずとも口に出してしまう言葉だが、実行する/しないに関わらず現実的な立ち位置の領分へは深くて広くそして暗い溝を越えねばならない。その手段の銃と弾を手にした女子高生達。ベクトルの違う殺意の向き方と解消。SNSが生活に溶け込んだ世界は恐ろしい。反目はしても根は小市民である女子達の関係性が眩しかった。作者もこぼすように、二巻でまとめなくてはならなくなり、未消化部分を残したまま終わったのが惜しまれる。2020/03/25
うさぎや
5
打ち切りとは残念……しかし最後まで面白かった。細野様やっぱり好きだ……2019/06/30