出版社内容情報
「人生とは――ああそれを一言で言えるくらいなら、誰も小説など書きはしない」
2012年、伊勢谷友介監督、森山未來主演で映画化された『セイジ』が話題に。
その辻内智貴氏七年ぶりの新作は、「生」と「死」を見つめる男のまなざし。
故郷に帰った作家の俺は、拾った猫のミーちゃんと一緒に静かに暮らしている。そこで俺が驚いたのは死んだ友人の数の多さだ。
世間で言うところの「幸福」や「不幸」とは、「死」までを旅する「時間」という乗りものの乗り心地のことを言っているのだろう。
しかし考えてみたら、たどりつく場所はみな同じではないか。
深夜に近所のコンビニに煙草を買いに自転車で行った時、彼女に出会った。毛足の長い真白なロングコートの下に、胸元にギャザーの入ったサテン地の派手なドレス。「タクシー、つかまらなくて」源氏名を持っていそうな彼女を、俺は自転車の後ろに乗せた。
「小説家さん、って何でも知ってるんですか? 何きいても、おしえてくれます?」
「さあ、どうだろな」
彼女との関わりは、突如衝撃的なかたちで幕を下ろす…。
しみじみとした風景の中に、胸を打つ言葉と物語が、現実を抉る鋭い視点が。
珠玉の最新作品集。
【著者紹介】
1956年福岡県生まれ。シンガーとして活動後、2000年に「多輝子ちゃん」で第16回太宰治賞を受賞。真摯に「生と死」の根源を見つめる作風で読者を獲得、02年『セイジ』がベストセラーに。他の著書に『いつでも夢を』『ラストシネマ』『帰郷』『野の風』など。07年には『青空のルーレット』が、10年には『信さん』が、12年には『セイジ』がそれぞれ映画化されている。また09年にはシンガーとして待望のファーストアルバム『ZERO』をリリース。本書は実に6年の沈黙を破って刊行される、待望の作品集である。
内容説明
三年前に生まれ育った地方都市に戻って来た、作家でシンガーでもある竜二。猫のミーちゃんとふたり(?)暮らし、徒然に日々を送りながら生について、死について、思索をめぐらせる。社会の周縁から垣間見える、数々の人間ドラマ―。ベストセラー『セイジ』から10年―。しみじみとした風景の中に、胸を打つ言葉と物語が。珠玉の最新作品集。
著者等紹介
辻内智貴[ツジウチトモキ]
1956年福岡県生まれ。シンガーとして活動後、2000年に「多輝子ちゃん」で第16回太宰治賞を受賞。真摯に「生と死」の根源を見つめる作風で読者を獲得、02年『セイジ』がベストセラーに(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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