内容説明
二〇一一年五月、東日本大震災の被災地にある遠間第一小学校に、神戸から応援教師として赴任した小野寺徹平。彼もまた一九九五年に起きた阪神・淡路大震災の被災経験を持つ。関西弁で話す小野寺は“まいど先生”と呼ばれ、子どもたちと触れ合うなかで、震災後の被災地が抱える問題と向かい合ってゆく。厳しい現実に人はどう生きるべきか。未来への希望を描く珠玉の物語。
著者等紹介
真山仁[マヤマジン]
1962年、大阪府生まれ。同志社大学法学部政治学科卒業。新聞記者、フリーライターを経て、2004年、企業買収の壮絶な舞台裏を描いた『ハゲタカ』でデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ねなにょ
28
ちょっと感情が先走る傾向があるものの、子供たちの幸せを第一に考える小野寺徹平や彼の良き理解者であり、自らが矢面に立ち、児童がやりたいことを実現させるために誠意を尽くす浜登大吾のような教師がもっともっと増えたら、学校がもっと素敵な場所になるだろうに… まいど先生の人間味あふれるキャラクターと徹底的にこだわった架空の遠間という場所、限りなく本当っぽいエピソードで、マスメディアなどから入ってくる情報とは異なる、被災地が抱える様々問題、課題が見えてくる。 2022/05/19
puu
14
真山仁、2冊目。東日本震災直後に被災地に応援教師として赴任してきた徹平の物語。読んでいてこれはいつ出版したのだろうと気になって確認してしまったほどリアル。初出誌は2011年だったので震災後すぐ。よく書けたし出せたな、と思うようなリアルな話だった。真山のアツい想いが伝わってくる佳作。そしてさつきの手紙はエピローグだろうと思っていたらないまま終わってしまった…気になる…!! 続編があるようなのでそちらか? これは読まねば。 2023/05/03
おうさま
7
真山仁が描く『震災三部作』第一弾。版元さんのおすすめで 第3弾完結編の「それでも、陽は昇る」を読ませていただき、いたく感動。これは第一弾から読まねばと思いいたる。 被災地からは離れているので、他人事と感じてしまっているのは否めないが、決して忘れてはいけないことだと思う。 フィクションでありながら、きっとこういうことが現実に起きていたんだろうと思える、真山さんの取材力は凄いし、多くの人が読むことで、あの震災を忘れずに教訓としていくことが大切だと痛感。2021/03/17
ショコラ♡
6
時期的にタイムリーでした。東日本大震災の数ヶ月後に関西から赴任してきた小野寺先生。自分も阪神で被災し妻子を失う経験をしているにもかかわらず、明るく子どもたちと向き合う。部外者だけど同じ傷を持つ者同士、微妙な関係だけど地元の人たちにも徐々に受け入れられる。いまだに復興とか程遠い気もするけれど、子どもたちの前向きさには、進んでいくしかないと思わされる。2021/03/14
太陽の塔
5
評判を聞いて購読。感動作でお涙ちょうだい的なストーリーかと思いきや、現実的な問題からの物語構成でとても考えさせられる作品であった。被災者、ボランティアでは簡単に括れない、人それぞれに思いや問題があり、正解がない中での悩みながらの発言や行動には、自分ならばという想像力が必要。早く続編を読みたい。2021/07/28