内容説明
住所はあるのか?居酒屋が多いのは本当?歴史的な保存価値はあるの?何に使ってもいいのか?所有権は?使用料は?大都会の歴史と発展の生き証人・ガード下のすべて。
目次
1 ガード下とは何か?―その定義と魅力(どうやってガード下ができたのか?;歯牙にもかからないガード下研究の現状 ほか)
2 生命力あふれるウラ町・ガード下の誕生(昭和のアーチ駅舎とブリキ住宅;ドイツの香り漂う、有楽町のガード下 ほか)
3 高度経済成長に誕生したガード下―その再生とオモテ化(光が眩しい洞窟の魅力;住んでみたい町No.1―自己完結型をめざす吉祥寺)
4 新時代に挑むガード下―ホテル・保育園…(パリのパサージュが二一世紀東京・赤羽のガード下に誕生;机上で進めるガード下環境 ほか)
著者等紹介
小林一郎[コバヤシイチロウ]
1952年、東京生まれ。明治大学卒業。建築関係の編集プロダクションを主宰し、数多くの書籍を編集する。淑徳大学池袋サテライトキャンパス、朝日カルチャーセンター千葉講師。TV、雑誌で近代建築の魅力を紹介、「まち歩き」の視点からの建築観察が高い評価を得ている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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壱萬弐仟縁
11
本テーマには、学術としては学際が妥当という(25頁)。建築学だけではなく、そこでの人間模様ならば社会学は不可欠であろう。28頁の写真から察するに、さながら吉田類の酒場放浪記。庶民的な交流空間のようだ。評者が卑近なガード下は、国道1号沿いの山科付近の新幹線と並走しているところだな。信号待ちしていると飲食店もあるようだ。名駅の新幹線下もなじみあるな。千葉の学会会場付近もガード下で食事した記憶も蘇ってきた。騒音という気もするが、駅ならではの雰囲気。評者の地域にはない。あるのは、無人駅のみ。2013/06/26
misui
8
「ガード下」の利用については鉄道各社にもろくな記録が残っていないそうで、建築基準法や行政周りの取り決めを見つつ、本書では戦前・高度経済成長期・現代の時代区分で紹介している。中でもJR新橋-東京-上野間は歴史も古く、付近の都市開発とともに歩んできたことが理解される。上野から秋葉原の間は古くはアメ横、新しくは2k540とダイナミックな区間だ。橋桁に振られているというナンバーを確認しながら歩いてみたくなる。2014/10/02
うえ
5
軽快なエッセイ。都内を中心にガード下を巡る。秋葉原電波会館が取りあげられており、そうか、よく考えてみたらあそこ思いきり鉄道の下だったな、と。神戸線元町駅から神戸駅までの区間なんかも取りあげられている。本書には出てこないが、かつてはガード下にも多くの古本屋が存在した。ただ刊行年の2012年には確かにほとんどが姿を消していたのは確かだ。生き残っていた高円寺などもコロナ下で消滅してしまったが。扱われるガード下には赤羽や吉祥寺など新たな装いを得、若者向け?に変わった地域も紹介されているのだけれども。2023/03/20
たか
4
定番の有楽町の他に御影も紹介されていた。2021/12/12
yraurb
3
タイトルに惹かれて読んだ。自分的にはガード下というと飲み屋街よりも秋葉原のパーツ街のイメージが強い。そういう街の風景スケッチ的な内容かと思ったのだが、もっと総論的だった。鉄道がどのように発達し、ガード下がどのように生まれたかをさらい、法律的にはどうなっているか、どのような建物が見られるかといった概論から各地のガード下についての各論へと発展する。ガード下の生みの親とも言える鉄道会社にとっては鬼子のような存在らしい(社史などに残していない)というのにちょっと驚いた。2017/01/31