内容説明
『般若心経』全体をチベット仏教の立場からきわめて明快に解説した画期的な書。
目次
第１部 仏教の立場（内的な成長の探求；現代世界の宗教；仏教の基本；大きな乗り物；苦しみからの開放）
第２部 『般若心経』の解説（『般若心経』の本文（訳）
始まりの言葉
菩薩の道に入る
無我をめぐる問題
空性の解釈
正しい見解を育てる
果の獲得）
第３部 菩薩の道（菩提心を起こす）
著者等紹介
ダライ・ラマ１４世テンジン・ギャツォ［ダライラマジュウヨンセイテンジンギャツォ］［Ｈ．Ｈ．ｔｈｅ Ｄａｌａｉ Ｌａｍａ，Ｔｅｎｚｉｎ Ｇｙａｔｓｏ］
１９３５年、チベット東北部アムド地方に生まれる。２歳のとき転生活仏ダライ・ラマ１４世と認められる。１９４９年のチベット侵略に伴い、１５歳で、政治・宗教両面の国家最高指導者となる。１９５９年に亡命。インドのダラムサーラに亡命政権を樹立。チベット問題の平和的解決を訴えつづけ、１９８９年にノーベル平和賞受賞。全チベット人が祖国復興の悲願とともに、仏教の世界的指導者であるダライ・ラマ法王に絶大な尊敬と信頼を寄せている
宮坂宥洪［ミヤサカユウコウ］
１９５０年、長野県生まれ。高野山大学卒業。名古屋大学大学院博士課程修了。インド・プーナ大学大学院に留学（Ｐｈ．Ｄ．）。成田山勧学院教授、信州豊南女子短大講師などを経て、現在、岡谷市照光寺住職
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
にいたけ
28
読書会課題本｡チベットの般若心経は日本のものと少し違っていて、それで少し混乱した。般若心経といえば「色即是空」であるがこの本を読んで理解ができた方は立派である。入門とは言いがたい。ネットでの解説を読んでから再読するとちょっと意味がわかる。ガイドがないと言葉がすべるすべる😅物事の本質は「空」である。でも人間には執着、煩悩があるから本質自体がちゃんとみえない。自分がなくなった境地にいかないと「空」はわからない。コップのスペースはコップがあるからそれがわかる。コップがなければ「無」となる。わかります？😓2020/08/04
荒野の狼
3
ここで紹介されているのは、日本で一般に流布されている小本（略本）ではなく、大本（広本）です。経文の本体は同じですが、大本ですので、経文の前後に数行ずつ文章がついています。漢文からの訳ではないので、漢文や書き下し文は掲載されていません。ですから、おなじみの“あのくたらさんみゃくさんぼだい”といった日本で発音されている言葉に対するダライラマの解釈がどれにあたるのかは、漢文を手元に別に置かないと困難です。文章は平易で、仏教の基礎知識なしに理解でき、入門というにはふさわしいでしょう。2007/10/08
ナオミ
2
仏教徒ではないけど、仏教徒の人が大事にしている考え方について知りたい。砕けた解釈だとどうしても本質がわからないので、ダライ・ラマの言うことならわかりやすいかな？と。わたしは人間を遥かに超越した神様の存在を信じられない。だけどあらゆる信仰を持つ人に敬意あるスタンスを持ちたい。ダライ・ラマの謙虚さ見習いたい。それにしても空ってなんなんだろうね、まったく。途中から、ちんぷんかんぷん。2015/11/13
ばななん
2
チベット語の般若心経は発音なども全然違うけれど、内容は同じ。あの漢字の弟子の名前がサンスクリット語ではこういうんだ、っていう新鮮な驚きが。通常の般若心経本と読み比べるのが面白いとおもう。2011/05/06
あろー
1
精神に関する教えは、気質や関心、心的能力により、人それぞれで最も適しているものは異なる。自分の宗教だけを喧伝したり、それが唯一最高であると主張することは重要ではない。また、ダライ・ラマはあらゆる宗教の目的は心の平安だとして、仏教もその一つだと位置づけている。（ただし、自ら築いた土台を壊すようなものであるため、有神論者は空性を学ばない方が良いとしている。）仏教は無神論であり、そのうちアートマンを認める立場とも区分され、不変な原理や永遠の魂を認めない立場である。2020/02/10
