内容説明
健康を願わない人はいないだろう。しかし、病気知らずの長寿が必ずしもいいとは限らない。なぜなら、人間は治らない病いを抱えることで自分の限界を知って謙虚になり、命をかけて成熟に向かうことができるからだ。「健康なだけの肉体なんて始末が悪い」「心と体は予想を裏切るからこそおもしろい」「神経症的な異変は誰にでも起きる」「弱点のない人間はいない」「最期まで人間を失わないでいられるか」等々、病気に振り回されず、満ち足りた一生を送るためのヒントが満載。
目次
体は不調になる前に精神に訴える
食事の基本は体が求めるものを与えること
薬といかに付き合うか
食べないことで得られる健康もある
人間としての最低の条件
体を経営するということ
家庭の食卓が人間に与える影響は大きい
素人の医学的知識に振り回されない
人間には果たすべき役割がある
精神的な異変は誰にでも起きる〔ほか〕
著者等紹介
曽野綾子[ソノアヤコ]
1931年東京都生まれ。作家。聖心女子大学卒。1979年ローマ法王よりヴァチカン有功十字勲章を受章、2003年に文化功労者、1995年から2005年まで日本財団会長を務めた。1972年にNGO活動「海外邦人宣教者活動援助後援会」(通称JOMAS)を始め、2012年代表を退任(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
いつでも母さん
154
自分の母と同じ年代の方の言葉は重い。ましてや曽野さん、戦中を生き、信仰を持ち、ご主人を看取り、確固とした自分を持たれている方の言葉だもの、多少耳に痛かったりもするが、ズバッと言い切る姿が清々しい。息子さんとも程よい距離を持たれている。しかし、なかなかこのように実践できる方は少ないかとも思う。気持ちの上でもだ。まだまだ私は人間が出来ていないと実感しました。2018/07/01
アキ
18
雑誌に連載されていたものの17話を集めたもので、表題に対する雑感という程度の軽い読みもの。心と体のことについてフランスでは「健康なだけの肉体なんて始末が悪い」と言うとか「生き延びるということは、知性とはあまり関係がないらしい」など曽野さんらしいきりっとした物の言い方。充実したその日の積み重ねが満ち足りた人生につながるのだ。話があちこちとんだり同じことを繰り返したりもあるけど、なんてったって80歳代の現役の文筆家は病気を持ってても文章が達者だねえ。2018/07/08
BUBI
17
私もどちらかといえば丈夫な体を親から受け継いでいますが、最近は風邪をひくと治りが悪く、椎間板ヘルニアもやったし、子宮筋腫もあるし、人間を長くやってるから仕方ないとしても「病」との付き合い方をよく考えます。この本は前書きがとてもいい。中身も悪くはありませんが、連載なので、同じ話が何度も出てきたりします。結局人は「肉体」によって既定される生き物であるという諦念を受け入れ、その上でどうその肉体を制御し、その既定の上でどれだけ楽しく生きていけるか、なんだろうなぁ。曽野さんの80年の人生はとても参考になりますよ。2019/09/01
なるせの
13
ただ好感度が上がりそうな言葉で弱り切った人間力に、生きることをまっすぐ見つめてしゃんと生きたくなる本。国家を信用するな、自分の身は自分で守れ。ときに利己主義になることも大切さだ。弱きものに優しくたれ、守ってこそ。は耳触りがよくて人と人との共存の中では必要な考え方もしれない。それゆえ、それだけに考えを絡み取られちゃいけなくて、他力本願の怠惰な生き方になってしまう。2018/10/16
ひめぴょん
12
久しぶりに曽野さんの本を読みました。ちょっぴり痛快でこの人が言えばいろいろなことが許される気がします。自分の考えと類似したところがあるので好んでよく読んでいます。以下は文中引用とミニ感想です。少しでも体調が悪いと、すぐ機嫌が悪い顔をする癖があった。したがって、人に迷惑をかけないためにも、自分の体の状態を常によくしておかなければならないという圧迫を感じ続けてはいた。→確かに体調と機嫌は通じるものがあります。そういうこともあって、私もまずは体調を整えることを優先事項にしています。和顔愛語の人を目指すために。食2022/11/24