内容説明
善意・悪意・嫉妬・打算…普通の人々の裡に隠されたいくつもの顔。
著者等紹介
永井するみ[ナガイスルミ]
東京生まれ。東京芸術大学音楽学部中退。北海道大学農学部卒業。1996年「マリーゴールド」で、第3回九州さが大衆文学賞を受賞。引き続き同年、「隣人」で第18回小説推理新人賞、『枯れ蔵』で第1回新潮ミステリー倶楽部賞を受賞した。農業、製材業界などユニークな舞台で展開するミステリー作品で注目を浴びる
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
そのぼん
20
外国の人に対する差別が所々に感じられる作品でした。読んでいて少ししんどいところもありましたが、なんとか読み終わりました。2012/08/13
mami
14
ボランティアを「究極の自己満足」として完結させられる人は一体どの位の割合で存在するのだろう。日本語教室のボランティアとして外国人に向き合う登場人物たちは、一様にクセの強いタイプばかり。誤解や偏見から起こるトラブル。読み終えてもなお残る不快感。それだけ小説の世界にひきこまれたということか。2017/06/02
星落秋風五丈原
10
ボランティアといえども「ボランティア・スピリット」に溢れた 人達ばかりではない。偏見に怒る者もいれば逆に利用する者、 外国人との交流を勲章にしようとする者、実にさまざまだ。 また外国人も日本人を利用しようとする者、コミュニケーションの 取り方に迷う者とひとくくりにできないタイプばかりだ。 ある短編での傍役が主役になる事もあれば、その逆パターンもある。 最終話では教室自体の存続につながる事件が起こる。主要人物が結集し、多少の言い合いはあるものの解決目指して協力するにも関わらず彼等は劇的に変わるわけではない。2004/12/12
zanta
7
とても皮肉。暖かい目とは言い難く、ボランティアを称する人が嫌いなのかと思う。だが、外国人に限らず、自分以外の、あるいは自分についてさえ、何らかの偏見や理想で視野が狭くなり、クリアに見えないこともよくある。外国人を題材にしながら、人との関わりを描いているのだろう。守口氏が救い。2013/01/14
しゅしゅ
5
ボランティアはしたこともないし、する気もまた起こらないのだけれど、この作品を読んで、更にその気持ちが冷めていくのが分かりました(苦笑)やっぱり人は自分がしたことに対して認められたいし、褒められたいし、愛されたいし、なのだなぁと再確認しました。いやはや。2015/07/21