出版社内容情報
『夢解釈』の最初の構想の要点をまとめた論文「夢について」、「夢の理論へのメタ心理学的な補足」など7本の論文で構成。
内容説明
『夢解釈』刊行後も増補・改訂を重ねたフロイトだが、本書は、夢についての考察、理論がどのように生まれ、その後の「メタ心理学」の構想を境に深化し、展開されたかをたどる。「夢について」「証拠としての夢」「夢とテレパシー」「夢の理論へのメタ心理学的な補足」など6つの論文を収録。
目次
第1部 夢についての考察(夢について(一九〇一年)
証拠としての夢(一九一三年)
夢に出てくる童話の素材(一九一三年)
夢とテレパシー(一九二二年))
第2部 夢の理論への補足(夢の理論へのメタ心理学的な補足(一九一七年)
夢解釈の全体への補足(一九二五年))
著者等紹介
フロイト,ジークムント[フロイト,ジークムント] [Freud,Sigmund]
1856‐1939。東欧のモラビアにユダヤ商人の長男として生まれる。幼くしてウィーンに移住。開業医として神経症の治療から始め、人間の心にある無意識や幼児の性欲などを発見、精神分析の理論を構築した。1938年、ナチスの迫害を逃れ、ロンドンに亡命。’39年、癌のため死去
中山元[ナカヤマゲン]
1949年生まれ。哲学者、翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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molysk
59
本書は、夢に関するフロイトの論文集。フロイトの研究は、前期と後期に大別できる。前期の考えでは、心は、意識、前意識、無意識の場所に分けられるとして、無意識の果たす役割を説く。無意識を理解するには、夢の分析が有効とするのが、主著「夢判断」である。また、心を動かすものは、性や愛といった生の欲動、とするのが前期の考え。後期は、死の欲動も存在すると主張する。前期から後期へと理論を発展させる中でも、フロイトにとって、夢は、重要な主題であり続けた。多様な視点から夢への解釈を深めて、論文として自らの考えを世に問い続けた。2022/09/11
amanon
9
平明な文体につられて、割にサクサク読み進めることができたけれど、理解の程はかなり怪しい…というか、あそこまで詳細に分析ができる程、夢についてリアルに語れるものなのか?という一抹の疑問が湧く(笑)。もしかすると、夢を詳細に覚えて人に語ることができるのは、精神疾患者の特徴なのかも?と考えたり。また、よく批判されることではあるけれど、夢解釈が性的な傾向に向かいがちだというのが、やはり気になる。その解釈が今日にみてどうなのか?という検証が必要だと思うが。それとフロイトのテレパシーに対する微妙なスタンスが興味深い。2023/05/25
ハルト
9
読了:◎ 夢についての考察・理論がどのようにして行われたのかを辿る論文集。メタ心理学として夢について語りながら、夢の持つ「昼の残滓」が潜在的、無意識的に夢に願望が現れ、夢を形づくる。夢というのは、人の願望の投影術でもあるのだ。▼夢がなぜ生まれるかについても興味深かったが、フロイトが、夢とテレパシーをオカルト的にではなく関連させて考えているのが、また興味深かった。虫の知らせ的予知夢を心理学的に研究を推し進めようとしているのがおもしろい。2021/12/10
りんふぁ
3
フロイトを読んだことがないと思い、文庫で読みやすそうだったから借りた。論文の訳なのでいまいち難しい。潜在意識や表面意識はわかるが、それだけで意味付けるのはどうなんだろう?と思ったり。訳者さんとの相性は良くなかったかな。違う本も探してみよう。2021/07/21
ひつまぶし
2
読んでいてよく分からないところもある。夢の症例はそもそもどういう話なのかつかみづらいことも。フロイトの解釈も不可解に感じられる部分がままある。しかし、ここで重要なのは夢の解釈の妥当性ではなく、そのような解釈が可能になる精神的なメカニズムのモデルを索出するところにあるのだろう。夢の解釈が認知枠組みの変容に寄与する場合があったとしても、それは解釈の継続的な過程によるものであって、夢自体が直接的な示唆を持つわけではない。フロイトの著作は常に、ある程度不完全な思考実験の過程の提示と思った方がいいのかもしれない。2023/09/07