光文社新書
食べる西洋美術史―「最後の晩餐」から読む

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  • サイズ 新書判/ページ数 262p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784334033873
  • NDC分類 702.3
  • Cコード C0271

内容説明

西洋、とくに地中海諸国は古来、食べることに貪欲であり、食にかける情熱はしばしば料理を芸術の域にまで高めた。また、食べ物や食事は西洋美術においては常に中心的なテーマであった。中世にキリスト教によって食事に神聖な意味が与えられると、食事の情景が美術の中心を占めるにいたる。この伝統が近代にも継承され、現代もなお重要な主題であり続けている。このことは西洋特有の事象であり、西洋の美術と文化を考える上できわめて重要な手がかりとなる。本書は、食事あるいは食物の美術表現を振り返り、その意味を考えることによって、西洋美術史を別の角度から照らし出そうとするものである。

目次

第1章 “最後の晩餐”と西洋美術
第2章 よい食事と悪い食事
第3章 台所と市場の罠
第4章 静物画―食材への誘惑
第5章 近代美術と飲食
第6章 最後の晩餐

著者等紹介

宮下規久朗[ミヤシタキクロウ]
1963年愛知県生まれ。神戸大学文学部助教授。東京大学文学部美術史学科卒業、同大学院人文科学研究科修了。兵庫県立近代美術館、東京都現代美術館学芸員を経て現職。専攻はイタリアを中心とする西洋美術史、日本近代美術史。『カラヴァッジョ―聖性とヴィジョン』(名古屋大学出版会)で第27回サントリー学芸賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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zirou1984

47
キリスト教というのは確かに食べ物に関するエピソードが多い。パンとワインの話しかり、最後の晩餐しかり。そもそも原罪だってリンゴの果実を食べたのが原因だ。だからこそ西洋美術史にも食の描かれ方についての系譜が存在し、そこに時代の変遷を読み取ることができるのだろう。イコンとしての食材や祝祭としての食事、貧困と、祝宴。印象派の時代になると食は主題から外れつつあるものの、ウォーホルがそれを新しい形で捉え直したという話も納得。食の喜びと愉悦を描いた作品の数々は特に印象的であり、著者の言う通り愛すべき作品だ。2015/08/23

ホークス

38
キリスト教ではパンとワインを始め食物に象徴的な意味があり、絵画に多く描かれた。本書は西洋美術と食事や食物の関係を通史的に探究した労作である。テレビで91歳の寿司職人小野二郎氏の食欲に驚いたが、正に食べる事は生きる事である。西洋美術ではそこに死の観念が絡み、複雑な意味付けがなされる。紹介作品の中では、ゴッホの「馬鈴薯を食べる人々」、 レンブラントの「皮を剥がれた牛」などが印象的。死後の婚礼を描いた山形のムカサリ絵馬は美しくて悲しい。それとやっぱりブリューゲルは良い。2017/06/12

aisu

14
キリスト教から印象派、現代アートと幅広く、食物や食事シーンについて解説されたもの。読み応えがあった。2016/03/28

みーこ@ただのねこ(春毛)

12
タイトルに「食べる」とあることからもわかるとおり、食べ物や人が何かを食べる(食べている)様子を描いた作品から見る西洋美術史の本。「最後の晩餐」から始まって「最後の晩餐」で終わるのが面白い。パンや林檎、魚や肉にもキリスト教の教義に裏付けられた記号的意味が読み取れる一方で、宴会や乱痴気騒ぎの絵には、「大食」という罪を戒める名目の中にも「美味しいものが食べたい!」という純粋な欲望があらわれていることを知り、遠い時代の異教(異郷)の人々に親近感がわいた。口絵のカラーの絵を見ていると、自分もおなかがすいてくる気がす2014/02/25

fonfon

12
西洋美術史の門外漢でも読むことの楽しみの充溢をたっぷり味わえる。なるほど、なるほど、と蒙が啓かれ楽しく読み進んで巻末近く、円谷幸吉の遺書で爆弾投下され、私は粉々。う~、この言葉のちからに、頭は真っ白。参りました。食事とは、まず、死者への供物なのか?2012/04/02

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