出版社内容情報
児童虐待についての関心が高まっている。その時いつも、母親のくせにとか母性はどうなったのだという母への非難が叫ばれる。<母性>とはいったい何なのか。本書は、フェミニズムの立場から母性を制度として捉え、母親が我が子を殺す・捨てるという行動を制度からの逸脱として考える。そして、戦後の日本社会が、子捨てや子殺しをどのように非難したり容認したりしてきたかを分析する。母性という制度がどう変容したのかも明らかにする。さらに、父・母・子という関係性を通して人々を組織化する秩序の変化についても見据える。母性・子捨て・子殺し
【目次】
第Ⅰ部 子捨て・子殺しと母性
第1章 母性という制度
1 母性の買いたいと再編のために
2 日常生活におけるジェンダー秩序の維持
3 逸脱と統制のメカニズム
4 社会のなかの「母親」と「子ども」
第2章 子捨て・子殺しの物語
1 なぜ、1973年か
2 子捨て・子殺しの物語のレシピ
3 あべこべの物語
4 <加害者>への母の変身
第3章 子捨て・子殺しの物語の誕生と死
1 出来事の時空間的拡大
2 カテゴリーの統合と一般的レベルの語り
3 総犠牲化のプロセス
4 残された二つの疑問
第Ⅱ部 中絶と母性
第4章 中絶の論理
1 中絶とは、なにか
2 「堕胎罪」と「母体の健康」
3 「救い」から「家庭の幸福」へ
4 優生保護法改正(改悪)運動のパラドクス
第5章 カテゴリー統合への道程
1 中絶論争を支配するもの
2 カテゴリー統合の前哨戦
3 カテゴリー統合への困難な道程
4 中絶と母性の分断支配
第Ⅲ部 母性の制度と近代
第6章 母性という制度のサバイバル
1 喪失の物語
2 犠牲者化の物語
3 物語における加害者/逸脱的主役
4 父の不在の物語
第7章 不妊と家庭の近代化
1 日本的近代家族と実子主義
2 「逸脱」としての不妊家族と「正常化」の方法
3 不妊と近代化のアイロニー
おわりに
文献
索引
初出一覧
内容説明
女性たちの主体をめぐる欲望を回収し、構築される母性の物語。逸脱行動と見なされる社会現象を分析、現代日本社会の変容を追う。
目次
第1部 子捨て・子殺しと母性(母性という制度;子捨て・子殺しの物語;子捨て・子殺しの物語の誕生と死)
第2部 中絶と母性(中絶の論理;カテゴリー統合への道程)
第3部 母性の制度と近代(母性という制度のサバイバル;不妊と家族の近代化)
著者等紹介
田間泰子[タマヤスコ]
1956年大阪府生まれ。1990年京都大学大学院文学研究科博士課程修了。現在、大阪産業大学経済学部教授。専攻は社会学
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