出版社内容情報
自立格差。若者たちの自立をうながす要因、阻む要因は何か。その構造を明らかにすると共に、社会にできること、すべきことを考える。若者の間の格差・不平等の現状はいかなるものなのか。格差はどの時点で生まれ、連鎖していくのか。本シリーズは10年近くに亘る追跡調査データを分析したものである。第1巻では学歴を取得する過程、学校から職場への移行、職業キャリアを、第2巻では結婚と親役割の取得を、第3巻では自立をめぐるさまざまな意識を分析する。
シリーズ刊行のことば[石田浩]
序章 パネル調査がみてきた若者たちの自立への歩み[佐藤香]
1 若者のトランジション問題
2 日本の若者がおかれている状況
3 「働くこと」にかかわる社会システム
4 若者の自立プロセスを明らかにするために
第I部 家族とのつながりのなかで考える
第1章 幸せ感からみた若者の多様性?ジェンダーと女性間の違いに着目して[鈴木富美子]
1 多様な若者をどう捉えるか
2 本研究の特徴と目的
3 幸せ感におけるジェンダーの違い
4 客観的状況(収入)と主観的状況(幸せ感)による類型の作成
5 幸せ感における女性間の違い──類型による分析
6 おわりに
第2章 何を重視し,どう行動するか─日米の若者の価値観・進路・家族[深堀聰子]
1 若者を取り巻く社会環境
2 データの概要
3 日米の高校生の価値観
4 高校生の価値観と高校卒業後の予定進路
5 高校卒業後の価値観と職業キャリア形成・家族形成
6 おわりに
第3章 親元にとどまる若者─のしかかる「重層的な支出」[伊藤秀樹]
1 親との同居と経済的な困難
2 データの概要
3 誰が親と同居しているのか
4 親と同居する若者の事情
5 重層的な支出へと水路づける社会の構図
6 「依存」された結果としての親との同居
第II部 社会とのつながりのなかで考える
第4章 若者の描く将来像─キャリアデザインの変容[元治恵子]
1 若者を取り巻く状況
2 若者の描く将来
3 データと変数
4 自立へのプロセス
5 30歳時のキャリアデザイン
6 女性のライフコース希望と30歳時のキャリアデザイン
7 まとめ
第5章 分化するフリーター像─共感されない非正規雇用の若者たち[山口泰史・伊藤秀樹]
1 若年非正規雇用問題の解決に向けて
2 データと変数
3 誰が非正規雇用を経験しているのか
4 非正規雇用経験者は「自己肯定」をしているのか
5 フリーター観は若者の間で分化しているのか
6 閉じ込められる非正規雇用の若者たち
第6章 投票に行く若者は誰か─雇用形態・不公平感と投票行動[長尾由希子]
1 雇用形態の違いと社会参加のひとつとしての投票行動
2 調査協力者の状況
3 雇用形態別不公平に対する感度の違い
4 誰が投票に行くのか
5 おわりに
第7章 希望は失われているのか?─格差と希望喪失の共犯関係[田辺俊介]
1 「希望喪失」として語られる現代日本社会
2 「希望」は失われつつあるのか?
3 希望に格差があるのか?──希望と社会階層
4 希望の効果についての分析
5 希望喪失論と階層格差
終章 就労支援から自立支援へ[佐藤香]
1 若者たちがおかれている現状
2 自立していないのは若者だけなのか
3 結びにかえて
付録 分析に使用した調査票の設問一覧
索引
石田 浩[イシダ ヒロシ]
石田 浩(いしだ ひろし)
1954年生まれ. ハーバード大学大学院博士課程修了. Ph. D(社会学). 現在:東京大学社会科学研究所教授. 主著:『学校・職安と労働市場――戦後新規学卒市場の制度化過程』(2000, 東京大学出版会, 共編著). Social Class in Contemporary Japan: Structures, Sorting and Strategies(2010, Routledge, 共編著).
佐藤 香[サトウ カオル]
佐藤 香(さとう かおる)[旧姓:粒来]
1960年生まれ, 東京工業大学大学院社会理工学研究科博士課程/博士(工学). 現在:東京大学社会科学研究所教授. 主著:『社会移動の歴史社会学』(2004年, 東洋館出版社), 「学校から職業への移行とライフチャンス」佐藤嘉倫・尾嶋史章編『現代の階層社会1 格差と多様性』(2011年, 東京大学出版会, 65-79頁), 「仕事と家庭における公正」盛山和夫・上野千鶴子・武川正吾編『公共社会学2 少子高齢社会の公共性』(2012年, 東京大学出版会, 271-285頁).
内容説明
自立格差。若者たちの自立をうながす要因、阻む要因は何か。その構造を明らかにすると共に、社会にできること、すべきことを考える。
目次
パネル調査がみてきた若者たちの自立への歩み
第1部 家族とのつながりのなかで考える(幸せ感からみた若者の多様性―ジェンダーと女性間の違いに着目して;何を重視し、どう行動するか―日米の若者の価値観・進路・家族;親元にとどまる若者―のしかかる「重層的な支出」)
第2部 社会とのつながりのなかで考える(若者の描く将来像―キャリアデザインの変容;分化するフリーター像―共感されない非正規雇用の若者たち;投票に行く若者は誰か―雇用形態・不公平感と投票行動;希望は失われているのか?―格差と希望喪失の共犯関係)
就労支援から自立支援へ
著者等紹介
石田浩[イシダヒロシ]
1954年生まれ。ハーバード大学大学院社会学部Ph.D。現在、東京大学社会科学研究所教授
佐藤香[サトウカオル]
1960年生まれ。東京工業大学大学院社会理工学研究科博士課程/博士(工学)。現在、東京大学社会科学研究所教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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