出版社内容情報
高度成長期に全国電気通信労働組合(全電通)と電電公社との間で交わされた協約の成立過程を分析し、組織のジェンダー構造と再生産、変容のメカニズムを解明する。
日本における育児休業制度の初発の事例である本協約では、何が目指され、その制度は職業生活と家族生活とをどのように接合するものとして把握されたのか。協約成立過程の歴史的再構成を行い、制度実践がもたらした組織内部のジェンダー関係の再生産と変容、そして高度成長期の社会とその後の育児休業の展開に与えた影響を分析する。
内容説明
日本初の育児休業制度はいかにして誕生したのか。1965年、全電通(全国電気通信労働組合)と電電公社との間で取り交わされた協約の成立過程を実証分析しつつ、組織内部のジェンダー構造と再生産を重層的に解明。両立支援の原点を問い直す。
目次
組織のジェンダーと「家族的責任」
1 構想から提起、議論へ(電電公社とその職場のジェンダー;全電通「育児休職」構想と論争)
2 要求化決定から交渉、締結まで(全電通の意思決定メカニズムとジェンダー;技術革新・合理化反対闘争と「育児休職」;特別退職法案と「育児休職」)
3 協約化後(「育児休職」の受容と定着;全電通の両立支援と男女平等の視角;女性活用と「家族的責任」をめぐるジェンダー;全電通「育児休職」協約の今日的意義)
著者等紹介
萩原久美子[ハギワラクミコ]
新聞社勤務を経て2008年一橋大学大学院社会学研究科博士課程単位取得。現在、都留文科大学非常勤講師など(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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