出版社内容情報
様々な<はざま>で揺れ動くニューカマーの子どもたちの日常を、綿密なフィールドワークによって描き出し、意味世界を構成するコンテキストとその生成を解明する。
子どもたちはいかに学校や地域で「周辺に位置づく」ことになっているのか。ボランティア兼研究者として学校・地域に密着し、多様な活動の展開の中に、そこに至るまでの経過と結びあわせ、未来を想定しながら「現在の<いま─ここ>」を読み解く。エスノグラフィックな手法をべースとした「臨床的アプローチ」の地平を拓く意欲的実践。
[関連書] 児島明 『ニューカマーの子どもと学校文化』(勁草書房刊)
序章 ニューカマーの子どもたちの日常世界を読み解くために
1 受け入れる側の日本の学校の状況
2 ニューカマーの子どもたちに関わる研究の状況
3 研究対象の概要
第Ⅰ部 エスノグラフィー
第1章 学校と家族
1 教師のまなざしとの関係
2 日本人の子どもたちとの関係
3 家族との関係
第2章 学校と家族の間の日常世界
1 ニューカマーの子どもたちをめぐる多様なコンテキスト
2 「手厚い支援」とは
3 ニューカマーの子どもたち自身によるコンテキストの生成
第3章 地域
1 地域におけるボランティア教室
2 地域におけるニーズ発見の試み
3 ニューカマーの子どもたちによる日常的支援の組織化
4 蓄えられた資源
5 第Ⅰ部を締めくくるにあたって
第Ⅱ部 臨床的アプローチ
第4章 教育社会学による「臨床」の可能性
1 エスノグラフィーにおける「研究者」と「現場」の関係
2 「研究成果のオーディエンス」としての現場
3 研究成果の「再埋め込み」
4 研究者コミュニティで蓄積された研究成果を背景として
5 「研究者」と「現場」のストラグル
第5章 外国人生徒のための授業──学校文化の変革の試み
1 学校の支配的なコンテキストからの転換
2 外国人生徒のためのカリキュラム編成
第6章 学力調査による課題設定──再帰的学校文化の醸成
1 新たな課題の立ち上げ過程
2 教師の認識枠組の変化
3 新たな課題・学力補充学習の意味構成
4 課題の連鎖
5 再帰的学校文化の醸成
第7章 ニューカマーの子どもたちによる自治的運営組織の可能性
1 ボランティア教室からの独立
2 自治的運営組織の活動
3 帰属によるニーズの創出
4 自治的運営組織の機能
終章 ニューカマーの子どもたちの日常世界への接近
1 エスノグラフィーによる知見の要約
2 臨床的アプローチの成果
3 どこに可能性は拓かれていくのか
参考・引用文献
資料
あとがき
人名索引
事項索引
内容説明
エスノグラフィーによる臨床的アプローチの地平を拓く意欲的実践。フィールドワークにおける研究者の立ち位置を模索しつつ「はざま」に生きる子どもたちの日常を読み解く。
目次
ニューカマーの子どもたちの日常世界を読み解くために
第1部 エスノグラフィー(学校と家族;学校と家族の間の日常世界;地域)
第2部 臨床的アプローチ(教育社会学による「臨床」の可能性;外国人生徒のための授業―学校文化変革の試み;学力調査による課題設定―再帰的学校文化の醸成;ニューカマーの子どもたちによる自治的運営組織の可能性)
ニューカマーの子どもたちの日常世界への接近
著者等紹介
清水睦美[シミズムツミ]
1963年長野県に生まれる。1986年上越教育大学学校教育学部卒業。長野県内の公立小中学校での勤務を経て、早稲田大学社会科学部へ学士入学。2005年東京大学大学院教育学研究科博士課程修了。博士(教育学)。東京理科大学理工学部教養科助教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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