「魂」に対する態度

「魂」に対する態度

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  • サイズ B6判/ページ数 264p/高さ 20X14cm
  • 商品コード 9784326152476
  • NDC分類 104
  • Cコード C3010

出版社内容情報

〈私〉の存在に対する驚きから出発し,思索を深めている著者の論文集。伝統的に他我問題,人格の同一性などと呼ばれる問題群が徹底的に考え抜かれる。

〈私〉をめぐって深まりつつ
繰り返される思索は、
隣人をもたない〈魂〉に到達した。

・・・・・・他者とは、いつもつねに、隣人を持たない
ものの隣人である。それは、決して到達すること
のできない、根本的に異質な、もう一つの世界
(の原点)であり、理解しあうことも、助けあ
うことも、ついには不可能な、無限の距離をへ
だてた、あまりにも遠い隣人なのである。
〈魂〉に対する態度とは、それゆえ、それに向
かって態度をとることができないものに対する
愛や共感や理解を超えた態度なのであった。
          「〈魂〉に対する態度」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
【目 次】

1 ポスト〈道徳〉的文化の展望
  -ニーチェ的解釈学とその帰結(1)-
2 哲学の極限
  -ニーチェ的解釈学とその帰結(2)-
3 規範の基礎
  -「べき」 の生成論の立場から-
4 質疑応答(Ⅰ)

1 ヴィトゲンシュタインの〈感覚〉と
  クリプキの〈事実〉
2 教えることのパラドックス
  -「学校文化と生徒人格」 序説-
3 世界宗教の外部へ
  -柄谷行人『探求』批判-
4 醒めることを禁じられた夢
  -「デリダ VS フーコー」 への1つの視点-
5 質疑応答(Ⅱ)

1 〈私〉の存在
2 「私」 の同一性と〈私〉の同一性
3 魂に対する態度
  -他人と他者の存在論的差異について-
4 〈魂〉に対する態度
5 質疑応答(Ⅲ)

内容説明

〈私〉をめぐって深まりつつ繰り返される思索は、隣人をもたない〈魂〉に到達した。思想の場所を解体していく哲学の悦び。

目次

ポスト〈道徳〉的文化の展望
哲学の極限
規範の基礎―「べき」の生成論の立場から
ヴィトゲンシュタインの〈感覚〉とクリプキの〈事実〉
教えることのパラドックス―「学校文化と生徒人格」序説
世界宗教の外部へ―柄谷行人『探究』批判
醒めることを禁じられた夢―「デリダVSフーコー」への一つの視点
〈私〉の存在
「私」の同一性と〈私〉の同一性
魂に対する態度―他人と他者の存在論的差異について
〈魂〉に対する態度
質疑応答

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ころこ

32
勁草書房から出た2冊目ですが、今思うと1冊目も読み辛く、この本も読み辛いのは間違いありません。ニーチェに代表される道徳論のラインが1章で登場しますが、なかなかハイコンテクストで読解するのが厳しいと感じました。3章で独我論のラインがあり、間に挟まれた2章で柄谷行人やクリプキが出てくるのが意外ですが、その後の著作でもっとこなれた表現で論じられるのを拾い、棄てられたものは拾わないで十分だと思います。著者の場合、表現の難しさと思考の独自性が繋がっているので、全てを理解したいという誘惑に駆られます。また、いずれ。2020/11/12

田畑

5
永井さんが哲学問題について善なる嘘をつかないが故にしばしば読者は謎に際悩まされてしまう。つまり、読者は身体的連続性・時間的連続性を本質として備えていない開闢の地点に立たされ孤絶感に囚われる。〈私〉は他人に対してどのような態度をとればここから脱出できるのか。本書を読んでも、ちっとも掴めなかった。そもそも主題はそこではない。結局、自分で落としどころをつけなくてはいけないことを悟らざるをえないのである。永井哲学に救いを求めるべからず。2014/02/24

テツ

4
しばらく前に講義を受けたので久しぶりに永井均。こどもの頃に「他人の気持ちを考えなさい」と叱られたときにぼんやりと心に浮かんだ疑問を他人が言語化してくれていたことに初読のときはちょっぴり感動した。自分自身と対等な他者、他なる独在など存在する筈はなく対等な他者など存在しない。どうあがいても相互理解など存在しない。これは絶望的な言葉ではなく救いでしかなかった。「ああ、そうだよな」と安心することが出来た覚えがある。永井さんの文章に馴染める方にはオススメ。違うベクトルで気分が楽になる。2015/05/08

よしむね

3
途中の柄谷批評は、あたかもカントvsニーチェの代理戦争だw1990年ですでにポスト真実の話をしていて感動した。僕らの正しさは映像の世紀の末には虚構の上に成り立っていたのだ。若者の恋愛がメロドラマによって平均値を取っていくように。。。21世紀は情報過多もとい虚構過多の時代なのだから、自分にあった虚構を見つけることが幸せへの道なのかな。個々人の価値観に最適化された虚構が新しい美醜を決めるの形になる。ん、転倒してる。その価値観も虚構でできてんのか。幼児教育って大事よね〜。2017/04/15

伊勢田和良

2
永井均「魂に対する態度」を読みました。 永井さんの2冊目の著作で1990年発行です。 哲学シンポジウムで発表した論文とその質疑応答集です。 ウィトゲンシュタイン、ライプニッツ、スピノザ、カント、デカルトを材料に永井哲学を語っています。 <私>についての他、魂・道徳・倫理・規範について自説を展開します。 各論文ごとの質疑応答には舌を巻きます。 哲学学会でのやり取りですが、ディープ&ナローでタジッとなります。 永井均さんの著作に関心を持ったのは、前野隆司「なぜ脳はこころをつくったのか」を読んだからです。2015/07/15

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