出版社内容情報
●内容
構造生物学はいまや生命現象の理解や創薬,生物工学の発展のためになくてはならない分野であるが,非常に新しい分野であるため,わかりやすく解説された書が少ない。ましてや学部・大学院の講義で使えるように,基礎から説き起こし,構造解析法まで実例を豊富に織り込んで解説した書は皆無に近い。
構造生物学が生物学・生命科学において確固たる地位を占めるようになった今日,構造生物学を系統的に講義する必要はますます重要になっており,講義のテキストとして,学生の自習用として,本書がその役に立つことは間違いない。また,卒後,この分野を改めて学ぼうとする社会人にも適している。
付録のCD-ROMには,本書の全図が図説明とともに245パネルのPDFファイルに収録されている。そのなかの分子構造図の多数は,カラーのステレオ図であり,立体視を楽しみながら,理解を深められる。
●目次
第1章 構造生物学とは
第2章 タンパク質構造の成り立ち
I.タンパク質構造の階層性
II.1次構造
III.2次構造
IV.3次構造
V.フォールド
VI.4次構造
第3章 核酸の構造と認識
I.核酸分子の基礎
II.核酸の構造生物学はX線繊維回折に始まる
III.核酸の構成要素の構造
IV.核酸構造の基本となる二重らせん構造
V.二重らせんの大きな溝にもう1本の核酸の鎖がからみあい三重らせんを形成する
VI.脊椎動物の染色体の末端は四重らせん構造を形成しているかもしれない
VII.塩基の裏返り(flipping)による核酸の認識
VIII.ジンクフィンガータンパク質はDNAもRNAも認識する
IX.左巻きZ-DNAを認識するタンパク質
X.おわりに
第4章 構造決定法
I.X線結晶構造解析
II.NMR
第5章 基本的な2次構造をもつタンパク質
I.はじめに
II.2次構造の組合せによる3種類の基本的な立体構造
III.金属結合タンパク質
IV.おわりに
第6章 酵素による基質認識
I.はじめに
II.ブロメライン阻害タンパク質
III.サーモライシンの基質認識機構
IV.リゾチームの触媒機構
第7章 抗体および免疫細胞受容体の構造
I.はじめに
II.抗体の基本構造
III.抗原-抗体相互作用
IV.抗体分子の応用と構造解析の役割
V.免疫系の細胞表面受容体
VI.立体構造でみる疾病のメカニズム(インフルエンザを例として)
VII.おわりに
第8章 構造生物学と薬
I.血液凝固と薬
II.HIVプロテアーゼ
第9章 膜タンパク質の構造
I.膜タンパク質の特徴
II.膜タンパク質の構造研究手法とその解析法
III.光イオンポンプ
IV.呼吸鎖
V.光合成
VI.細胞接着分子カドヘリン
第10章 計算機による構造予測法
I.はじめに
II.1次構造の相同性
III.2次構造予測
IV.3次構造予測
V.おわりに
付録 Chou-Fasmanにおける2次構造予測の概略/GOR法における4つの2次構造に対する指向性寄与スコア/3D-1D法における環境クラスに対するアミノ酸残基スコア
目次
第1章 構造生物学とは
第2章 タンパク質構造の成り立ち
第3章 核酸の構造と認識
第4章 構造決定法
第5章 基本的な2次構造をもつタンパク質
第6章 酵素による基質認識
第7章 抗体および免疫細胞受容体の構造
第8章 構造生物学と薬
第9章 膜タンパク質の構造
第10章 計算機による構造予測法
著者等紹介
河野敬一[カワノケイイチ]
1972年大阪大学理学部卒業。1977年大阪大学大学院理学研究科博士課程修了、理学博士。1980年九州大学歯学部助手、講師。1994年北海道大学理学部助教授。1998年富山医科薬科大学薬学部教授。2004年より現職。現職、北海道大学大学院理学研究院生命理学部門教授。専攻、構造生物学
田之倉優[タノクラマサル]
1974年東京大学理学部卒業。1979年東京大学大学院理学系研究科生物化学専攻博士課程修了、理学博士。1980年大分医科大学助手。1988年順天堂大学医学部講師。1989年東京大学理学部講師。1994年東京大学生物生産工学研究センター教授。1998年から現職。現職、東京大学大学院農学生命科学研究科教授。専攻、構造生物学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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