内容説明
六作品をとりあげ、一作品に文学研究者と国語教育研究者の二名が執筆し、互いに論考を対置。さらに批評し合う「所感交感」を付し、相互の専門性の相対化を試みる。
目次
おおきなかぶ(ロシア民話)
お手がみ(アーノルド=ローベル)
くじらぐも(中川李枝子)
たぬきの糸車(岸なみ)
ゆきの日のゆうびんやさん(小出淡)
サラダでげんき(角野栄子)
著者等紹介
田中実[タナカミノル]
1946年福岡県柳川に生まれる。立教大学大学院博士課程満期退学。都留文科大学教授。森鴎外を中心にした近代文学の研究を専攻。近年は〈他者〉、天皇制、村上春樹、児童文学、国語教育に関する論文多数。著書に『小説の力―新しい作品論のために』(1996年、大修館書店)『読みのアナーキーを超えて―いのちと文学』(1997年、右文書院)などがある
須貝千里[スガイセンリ]
1950年東京都板橋区に生まれる。法政大学文学部日本文学科卒業。山梨大学教授。主に国語教育史、文学教育論を研究対象とし、多数の論文がある。近年は文学作品の教材価値の研究に関心を持ち、文学研究と国語教育研究の交差という視点から宮沢賢治の作品の研究に挑む。著書に『〈対話〉をひらく文学教育―境界認識の成立』(1989年、有精堂)などがある
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感想・レビュー
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ともすけ
5
小学1年生の国語教科書に掲載されている作品についての研究が書かれている本。みんなが馴染みの「おおきなかぶ」から比較的新しい「サラダでげんき」など。6作品について書かれているが、それぞれ違った視点から小学1年生が想像力を働かせるために工夫がこらされているのがわかる。動物の擬人化というのはその最も典型的な例だ。「サラダでげんき」は「魔女の宅急便」の角野栄子さんが文を書いている。見えないお母さんを想像させる長新太さんの絵と相まって、とても現代的で子どもが読んだら喜ぶだろうなと思わせるものだ。2015/10/02