出版社内容情報
流浪の鬼才スコリモフスキの世界を読む、本邦初の研究書。本人談話を含むオリジナル取材から全作品解説等を収録した資料充実の一冊。
ポーランド映画界で衝撃的なデビューを飾って「第三の新人」と呼ばれたスコリモフスキは、その後共産主義下の祖国を離れ、世界各地を流浪しながら映画を撮り続けてきた。オリジナル取材、各時期の詳細な作品解説、本人の談話、現場の撮影ルポ等様々な角度からその世界を探究する。作家の全貌をコンパクトに見渡せる、わが国初のスコリモフスキ研究書。
【著者紹介】
編集―遠山純生 1969年生まれ。
映画研究、ライター、翻訳、編集。主な仕事にエスクァイア・マガジン・ジャパンのe/mブックスシリーズや、映画パンフレットの執筆・編集など幅広く手がける。翻訳者としてボグダノヴィッチ『私のハリウッド交遊録』他。
内容説明
ポーランド映画界の反逆児から放浪の異端児へ―常に“成熟”の一歩手前に留まり続ける作家の、初めて明らかになる全貌。
目次
ポーランド期(習作短編;『身分証明書』 ほか)
流浪期(『ダイアローグ20‐40‐60』;『ジェラールの冒険』 ほか)
英国期(『不法労働』;『成功は最高の復讐』 ほか)
合衆国←→ポーランド期(『春の水』;『三〇ドア鍵』 ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
garth
3
スコリモフスキが交通事故にあったときの話。「 三つのことが彼の心をよぎりました。まず、自分が生きていること。二つ目に、結婚指輪をなくして帰宅した際に、ヨアンナに何と言えばいいだろうかということ。三つ目に、自分は頭から血を流しており、今までにこれほどたっぷり血にまみれた描写を見たことがなかったということ。そこでスコリモフスキはポラロイドカメラを撮りだし、フロントガラスから彼を引っ張り出そうとしているドイツ人たちの面前で、どのように流血しているか見るために自らの姿を写真に収め始めたのです」2010/07/08