出版社内容情報
水/櫛の火 解説=平野啓一郎
ブロッホ、ムジールなどの翻訳を経て、作家に。『杳子』で芥川賞を受賞。『栖』で日本文学大賞を、『槿』で谷崎潤一郎賞を、『中山坂』で川端康成賞を受賞。『仮往生伝試文』で読売文学賞を受賞。
内容説明
著者自身が厳選した待望の著作集。一つの世界を織り上げる著者初の短篇連作「水」、性の奈落と愛の成就を描く初期の傑作長篇「櫛の火」。溢れ出て荒れ狂うもの、死と生の両義性を超えるもの。切り離された肉体と精神が、性愛の極北で解放される、圧倒的な愛の物語。
著者等紹介
古井由吉[フルイヨシキチ]
1937年(昭和12年)11月19日、東京都荏原区平塚(現・品川区旗の台)に生まれる。60年、東京大学ドイツ文学科を卒業、62年同大学大学院修士課程を修了。71年1月、「杳子」により第六四回芥川賞を受賞。80年『栖』で日本文学大賞を、83年『槿』で谷崎潤一郎賞を、87年「中山坂」(『眉雨』所収)で川端康成文学賞を、90年『仮往生伝試文』で読売文学賞を、97年『白髪の唄』で毎日芸術賞を受賞した(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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くさてる
10
「衣」に描かれた男性の酷薄さとそれに振り回される女性の、色彩によって彩られる美しい苦しみに、しばらく息も出来ないような気持ちになりました。こういう、人間の本質を落ちついて残酷に描いた小説は、時代の流れによる風俗の変化、人権意識の変遷などにも十分耐えうるのだなあ…。2014/04/16
山がち
0
水は確かに佳品と言わざるを得ない。これを作者が高く評価しているという逸話が広まるのも無理はないように思う。水。この言葉一つが、作者が用いた瞬間、私たちが使っている者とは違う力を帯びてしまうように感じるのだから不思議なことである。登山をする男の体と、水の配分。どことなく奇妙な取り合わせに感じないでもないが、とにかく印象的というのは確かだと思った。一方で、櫛の火は正直読みにくかった。もとから作者の作品は読みやすいものでは決してないのだけれども、特に読みにくかった。物語としてもあまり好きだということはできない。2012/10/24
犬猫うさぎ
0
『櫛の火』は微妙だった。映画版を観たい2020/12/04
tamioar
0
少し古井がわかって来ました。2018/05/23