内容説明
日本思想史上での宣長再評価に向けて。『古事記伝』は『古事記』の解釈を通して、宣長による新たな神話を成立させたテキストであった。つくり出された“古事記”はいかなる物語となったのか。『古事記伝』の読みが『古事記』と最も乖離している箇所「外国“とつくに”」に着目し。ひるがえって、自国日本に対して用いた語「皇国“みくに”」の意味を追究する。神について語る『古事記』を、人に適用して読もうとした『古事記伝』の本質が明らかになる。
目次
序章 『古事記伝』で「皇国」を問うこと
第1章 『古事記伝』のつくった「外国」(「常世国」から拡大した「外国」の物語;地球的世界における「外国」と「皇国」;「皇国」の物語のためにつくられた「外国」)
第2章 『古事記伝』における「カラ国」の克服(「韓国」の解決;固有なる起源を求めて)
第3章 『古事記伝』のつくった「皇国」(「事」としての世界;世界の原典としての“古事記”;「皇国」の選択)
終章 宣長学の解明に向けて―「皇国」の物語の達成が導くもの
著者等紹介
〓寛紋[ベカンムン]
1978年韓国忠清南道生まれ。2001年韓国外国語大学日本語科卒業。2011年東京大学大学院総合文化研究科博士取得。翰林大学生死学研究所研究教授を経て、高麗大学民族文化研究院研究教授。専門は近世国学思想(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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