目次
霞たつ逢坂山の
年の緒を去年と今年に
よもすがら軒端の梅の
若菜つむ誰が白妙の
雪もなほ布留野の若菜
四方の空は更けしづまりて
み吉野の山分け衣
山田もる秋の鳴子は
花の雲空もひとつに
紫も朱も緑も〔ほか〕
著者等紹介
大内瑞恵[オオウチミズエ]
北海道生。総合研究大学院大学修了。博士(文学)。現在、東洋大学・都留文科大学非常勤講師(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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山がち
1
戦国時代から室町期の和歌は比較的発想の新しさがあるように感じているが、長嘯子も例に漏れないように思った。「はかなくてあはれ今年もかき暮れて雪さへ身さへ涙さへ降る」が非難されたのは想像に易いが、文学史的意義はともかくとして興味深い作品であることには変わりないように思った。貞門派と近い位置にありながらも、松永貞徳から門下生を奪ってしまったといったことで非難されてしまったことなど興味は尽きない。また、隠棲歌人として西行などにも近い位置にありながら、俳諧歌も十分に読んでいることも時代をしのばせられて興味深かった。2013/12/31