内容説明
斎藤茂吉。東北山形から出て、他の追随を許さぬ足跡を戦後まで残したアララギ派最大の歌人。医者勤めを果たしながら、子規以来の写生説を独自に展開。処女歌集『赤光』は、寂寥に満ちた孤独な生命の息づきを万葉風の骨ぶとな表現の中にうたい、芥川龍之介を始め、多くの人々に衝撃を与えたことは有名。「写生」を生の深奥にひそむ苦悩と融合させた「実相観入」の説は、近代短歌の一つの到達点を示している。刊行した歌集は十七に及んだ。小説家北杜夫はその次男。
目次
ひた走るわが道暗し
たたかひは上海に起こり
死に近き母に添寝の
のど赤き玄鳥ふたつ
山ゆゑに笹竹の子を
ほのぼのと目をほそくして
うれひつつ去にし子ゆゑに
けだものは食もの恋ひて
赤茄子の腐れてゐたる
ちから無く鉛筆きれば〔ほか〕
著者等紹介
小倉真理子[オグラマリコ]
1956年千葉県生。筑波大学大学院博士課程文芸言語研究科単位取得。現在、東京成徳大学准教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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