内容説明
大内氏や今川氏、あるいは信玄や謙信、秀吉といった戦国武将が詠み残した歌は、常に死を背負っていた彼らの切迫した生き方が反映されていて、伝統的な貴族歌人の歌とはまた別な、独特の緊張感をはらんでいる。応仁の頃の将軍足利義政から、戦国時代奥州の覇者伊達政宗まで、戦国武将の歌40首、連歌7首、漢詩4編をとり上げ、文と武の融合という観点から分かりやすく解説した。
目次
歌連歌ぬるき者ぞと(三好長慶)
やがてはや国おさまりて(足利義政)
人心まがりの里ぞ(足利義尚)
苔のむす松の下枝に(大内義隆)
伊勢の海千尋の浜の(蒲生智閑)
梓弓おして誓ひを(北条早雲)
かくばかり遠き東の(大内義興)
思ひきや筑紫の海の(大友宗麟)
青海のありとは知らで(長尾為景)
分きかねつ心にもあらで(大内政弘)〔ほか〕
著者等紹介
綿抜豊昭[ワタヌキトヨアキ]
1958年東京生。中央大学博士後期課程単位取得退学。現在、筑波大学大学院教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ピロ麻呂
26
(マイベスト)逢ひ見ては なほ物思ふ 身を知らで 今朝なほざりの 一筆は憂き あなたと一夜を過ごしてから、私はあなたのことを考えてばかり。なのにあなたの今朝のメールは…そっけない2017/01/23
m
5
戦だけではない戦国武将の別な一面が知れて面白かった。文も武も出来ないよりは出来た方がかっこいい。2017/12/07
山がち
2
個人的には戦国武将の二条派和歌の受容という面について知りたかったのであるが、戦国武将という面がクローズアップされていたように思う。もちろん、これも戦国武将の重要な一つの姿であるため異存はないし、編者の博捜ぶりには頭が上がらない。武将らしい、文武や戦といったものの中にある歌も、二条派を受け入れつつ独創的な和歌に負けず劣らず面白いものではあるというのは十分納得ができた。連歌や漢詩にも目を配り、多角的かつ明確な戦国武将観が打ち出されているように思った。その分、個人的にはあまり面白い和歌がなかったのが残念だった。2014/01/17
木倉兵馬
1
戦国武将の和歌、連歌の一部、漢詩などを集めた本です。連歌という文化がこの時代では重要な教養の一つだったのだということを知りました。なかなか難しそうですけれども、連歌についても学んでみようかと思います。体感ではどちらかというと海を題材に取った歌が多かったでしょうか。心に残ったのは伊達政宗の漢詩、「馬上少年過/世平白髪多/残軀天所赦/不楽是如何」ですね。2018/01/22
AZUKI
1
歴史に登場する戦国武将の詠んだ歌を現在、この時代に自分が読めることにまず、感動しました。解説も興味深く、このシリーズを読破したくなりました。文化の高さに自分の国ながら尊敬していまいました。2013/11/05