内容説明
吉野の阿闍梨は、夢の中で権大納言から巻物を手渡される。この物語は、その巻物を阿闍梨が読むことから動き出す。一条の宰相中将(後の権大納言)と京極の三の君の恋が、物語を通底する基軸になっている。三の君の拒絶もあって、二人の恋は遅々として進まないが、やがては結ばれることになる。一方、按察使大納言の娘は継母にいじめられつらい日々を送っているが、岩田中将に見初められる。しかし岩田中将は、兄大納言の罪をかぶって流罪となり、悔やんだ大納言は自死してしまう。上巻は、権大納言の父一条左大臣の外腹の姫君が入内して藤壺女御となり、帝の寵愛を受けるが、皇子を産んだ後、亡くなってしまうまでが描かれる。
著者等紹介
塩田公子[シオダトモコ]
1950年、愛知県生まれ。名古屋大学大学院文学研究科博士前期課程修了。岐阜女子大学名誉教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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