内容説明
民衆の生活で歌い継がれてきた“うた”。その謎に5つのトピックスから迫る!
目次
はじめに―民謡とは何か
最期に立ち会う
うちの祭りが一番
フィールドワーカーの横顔
NHKと日本民謡大観
民謡・舞台・メディア
伝播論再考
美しい物語―ラッパ節・炭坑節・十九の春の伝播論その一
伝播論はどこまで証明可能か―ラッパ節・炭坑節・十九の春の伝播論その二
菅江真澄と臼歌
仕事歌の王様、臼歌
「民謡」という言葉のはじまり
民謡が「民謡」と呼ばれるようになるまで
本当の民謡
ふたたび、民謡とは何か
著者等紹介
島添貴美子[シマゾエキミコ]
1969年、福岡県生まれ。富山大学学術研究部芸術文化学系准教授。東京藝術大学楽理科卒業、同大学大学院音楽研究科修了、博士(音楽学)。研究分野:民族音楽学(日本の民謡・民俗芸能)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
watershed
1
民謡=労働や生活に根ざした歌とすれば、民謡が対象として意識されれたとたんに変質してします。加えて民謡を支えた労働や生活の現実はどんどん変化してなくなってしまう。そんな難しさを正面から受け止める本だった。 NHKの時空旅の軽妙なトークとは違う調子で楽しめた。2022/10/08
Go Extreme
1
民謡とは何か 最期に立ち会う:新曽新田と観音経 板挟み 観音経の醍醐味 記録に残す うちの祭りが一番:ちょっとの違い≠誤差 ちょっとの違い→アイデンティティ フィールドワーカーの横顔:町田佳利民謡とは何か 最期に立ち会う:新曽新田と観音経 板挟み 観音経の醍醐味 記録に残す フィールドワーカーの横顔:町田佳馨と柳田國男 NHKと日本民謡大観 民謡・舞台・メディア:本当の民謡 伝播論再考 美しい物語 伝播論はどこまで証明可能か 民謡という言葉のはじまり 民謡と呼ばれるようになるまで2021/03/21
おひだい
0
意外と堅苦しさがない。昔の研究者からしてもみてて面白いものではなかったっていうのは面白い。廃れゆく運命にある芸能を保存する上での問題がある。というのも保存する過程(メディアに取り上げられる過程)で変容してしまうのだ。民謡の伝播を辿る時はメロディが大事らしい。七五調が多いからmixに似てるなー。2023/07/05
KakeruA
0
民俗学的な見地から民族音楽を研究する著者が近代にまとめ上げられていった民謡研究についてやさしくまとめた一冊。過去の定義における民謡は明治時代から逸脱し始め、労働歌など現代においてはまったく当てはまらなくなっていることを指摘する。しかし実態がない現代の民謡をいたずらに非難するわけではない。メディアの発達によって独特な節も替え歌のような伝播する仕組みももはや機能していないが、土地や時代性を切り取って広く共有された価値共創の仕組みに興味が湧いた。2023/02/12