死者たちの戦後誌―沖縄戦跡をめぐる人びとの記憶

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  • サイズ A5判/ページ数 418,/高さ 22cm
  • 商品コード 9784275008442
  • NDC分類 210.75
  • Cコード C3030

内容説明

「戦死後」という新たな観点から「戦後」を問い直す。沖縄の戦跡という場で、人びとの日々の営みの中で、戦死者はどのように弔われ、記憶され、語られてきたのか?膨大な文献資料と緻密なフィールドワークから、戦死者にとって空白の「戦死後」の64年を読み解く。

目次

はじめに 戦死というグラウンド・ゼロ
序章 「戦後」と「戦死後」
第1章 さまよえる遺骨―戦死者が「復帰」する場所
第2章 「復帰」へといたる「病」―ひめゆりの塔と「沖縄病患者」
第3章 「父」を亡くした後―遺児たちの戦跡巡礼と慰霊行進
第4章 戦死者の魂が語り出すとき―戦後沖縄の心象風景
第5章 風景の遺影―摩文仁の丘の戦後

著者等紹介

北村毅[キタムラツヨシ]
1973年北海道生まれ。1989年大学入学資格検定試験合格。2006年早稲田大学人間科学研究科博士後期課程修了。博士(人間科学)。現在早稲田大学高等研究所准教授ならびに琉球・沖縄研究所研究員。文化人類学、民俗学、近現代日本社会論、表象文化論、沖縄研究。主な著書・論文に、「沖縄シャーマニズムと戦死者祭祀」(『歴史民俗研究 第4輯』板橋区教育委員会、第5回櫻井賞大賞受賞)などがある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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sendagi1130022

2
沖縄戦をめぐり、死者たちが、戦後どのような文脈の中で生者たちによって語られ、位置づけられ、意味づけられ、またはその位置付け・意味づけが議論され、改竄されてきたのかを、膨大な資料をもとに論考している。死者たちもまた、沖縄と「本土」の関係のうちに翻弄されてきたことが認識できる。 あとがきの言葉を借りれば、確かに生者が戦死者を悼むことは戦死後の「空白・不在に過剰な意味を充填する」ことを免れない。だがだからこそ、戦死者個々の固有の死を、我々が「自らの死へと思いいたる想像力」を働かせ悼むことが必要なのだろう。2011/07/31

えんさん(연싼)@読書メーター

1
戦争が語られるとき、当時の悲惨さや日本軍の加害性が注目されるが、戦死者たちの「その後」が語られることは殆どなかった。そのため沖縄戦の遺骨やひめゆりの記憶が「祖国のために戦った戦士たち」として生者に語り直され、あるいは本土復帰のために納骨の文化を内地様式に変えなければならなかったことが衝撃的だった。沖縄を凄惨な地として見なす、あるいは「癒やしの島」としてのイメージ、どちらも「沖縄病」と呼ぶならば、基地を押しつけている構造を嘆くことも「病」と呼んでいいのだろうか。2016/01/15

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