わたしたちが正しい場所に花は咲かない

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  • サイズ B6判/ページ数 141,/高さ 20cm
  • 商品コード 9784272430833
  • NDC分類 929.734
  • Cコード C0010

内容説明

現代イスラエルを代表する作家が、「自分こそが正しい」という姿勢にひそむ罠を指摘し、想像力とユーモアによる「共生の作法」を提案する。

目次

狂信者への処方箋
正義と正義のぶつかりあい
他者を想像する―アモス・オズへのインタビュー

著者等紹介

オズ,アモス[オズ,アモス][Oz,Amos]
1939年エルサレム生まれ。現代イスラエルを代表する作家。14歳で家を出てキブツ(農業共同体)に入り、そこで働くかたわら創作をはじめる。短篇集『ジャッカルが吠えるところ』(1965年)でデビュー。包囲状態のエルサレムを舞台にした長篇小説『わたしのミハエル』(1968年)で世界的に有名になる。イスラエルの平和運動団体「シャローム・アクシャヴ(今こそ平和を)」の創設メンバーとして長年平和活動にとりくみ、中東をめぐる社会評論でも国際的に知られる

村田靖子[ムラタヤスコ]
東京女子大学哲学科。東京都立大学大学院博士課程。弘前大学助教授をへて、現在、東邦大学教授。英文学、ヘブライ文学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

モリー

74
タイトルを見た瞬間、この本が私の抱えている問題を解決する処方箋を提示してくれるに違いないと直感しました。読み終えた今、その見立てに誤りが無かったことを確信しました。それどころか、家庭内の問題から国際問題までその原因の多くが、誰の心にも巣くう狂信に根ざすものであること、自分自身の中にも狂信の根があるという事実を突きつけられました。正しさで踏み固めた場所に花は咲きません。自分の正当性に相手を従わせるのではなく、一呼吸おいて相手の気持ちを想像しよう。ユーモアを大切にし、心を耕し、柔らかくて花の咲く場所を作ろう。2022/09/17

syaori

55
著者はイスラエルの作家で、本書はその講演やインタビューを収めたもの。印象的だったのは「変化を忌み嫌う」ことや、他人を「もっとよい人間にしてやりたい」という気持ちが妥協を許さない独善的なものになると、自分の「正義」に反する者は「ぶっ殺す」狂信者になる危険について語った部分。著者は9.11やイスラエルとパレスチナの紛争もそんな狂信者と現実主義者との争いなのだと主張します。自分の信念や信条が、多様性の受容や他人への想像力が欠けるだけで争いを出口の見えないものにしてしまう。そんな著者の言葉を噛み締める読書でした。2019/03/06

ヘラジカ

29
本書の半分はインタビューと解説なので表題の詩が引用されている核となる部分は80頁程である。しかし短いながらも話の内容には目が覚めるようなものがあり、考え方を改めたくなるくらいの濃い読書となった。語り口の柔らかさ故に若い読者にも飲み込みやすいだろう。北欧の高校では教科書として採用されていると書かれていたがそれも納得だ。平和主義者ではあるが反戦主義者ではないと語るオズだが、現在話題となっている安保法案に反対する人々はこれをどう読むだろうか。私はオズの考え方に全面的に賛成だ。誰にも押し付けるつもりはないけれど。2015/09/20

はやしま

24
【追悼アモス・オズ】本書中に”穏健左派”とあるが、リアリスティックな左派だったのではないだろうか。彼が訴えた二国家共存は相互が行き来するものではなくこの著作の原題で示された”離婚”、しかもシビアなもので壁を築いて関わりあわない隣人のごとくのものである。オズは一般のイスラエル人が存在を脅かされることに怯えるように、あるいは標準以上に、国という居場所を欲しその場所を脅かされれることに怯えているように思われる。他方で不要な戦争は嫌う。生存を守るための戦いは是とするが、他者を脅かすためだけの戦いは否定している。2019/01/01

里馬

17
イスラエルのユダヤ人作家であるアモス・オズ。彼はイスラエル指導者もパレスチナ指導者も双方が狂信主義者であると批判する。また、自分が正しく相手が悪い/間違っていると考え、親切心から是正しようとしていると指摘。それらを解消するためには文学を用いた想像力の育成と、ユーモアを解する自己批判精神だ、とする。大幅に賛成するけれど、彼自身もまた「私が正しい」という狂信に囚われている様に感じた。2010/05/27

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