出版社内容情報
医師は何を感じているのか?
医師の感情はコントロール可能か? 直視されることのない医師の感情——共感や悲しみ、恥やストレス、または訴訟リスクへの対応など、さまざまな問題を紹介。また、それが患者に及ぼす影響についても解説を加える。現役の医師自らがひもとく、感情のルポルタージュ。
堀内 志奈[ホリウチ シナ]
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
くさてる
25
医師として働く現場で感じる、感情。人としての心。信じられないようなプレッシャーを感じながら、ドラマでも見ないような偶然と悲喜劇のまっただなかで、医者として働くことの意味を分かりやすく平易な文章で、小説を読むようなリーダビリティの高さで語っています。すごく正直に、ありのままに医者としての気持ちを語っている内容だと思います。医者だって人間だよね、とつぶやきたくなりました。読み応えあります。おすすめ。2016/08/31
ケニオミ
10
本書を読んで、自分にも先入観があることに気付きました。ダニエルという名前の医者であるから、著者はてっきり男性だと思って読み進めてしまいました。先入観と言えば、「医者は自分の誤りを進んで明かしたりしない」と思っていました。訴訟社会であるアメリカでは尚更だと信じていました。そんな先入観も本書を読んで見直しが必要となりました。著者が女性だからなのでしょうか。自分のこれまで犯してきた医療上の誤りを告白しています。その時の感情を赤裸々に述べています。そんな彼女に共感を覚えました。読友さん、紹介してくれて有難う!2018/03/09
owlsoul
6
ハードスケジュールの中、常に患者の生死とかかわり続ける医師たち。彼らも人間である以上、その苛酷な環境に感情を乱されないはずがない。ブラックジョークで悲劇を笑い飛ばしたり、無感情に淡々と作業することで自分の心を守ろうとする者もいれば、重圧に押し潰されてPTSDになる者もいる。しかし、最良の医療を提供するためには、患者への共感能力を持ち続けなければならない。よって、志しを持った医師たちは、患者の苦悩に寄り添い、繰り返し訪れる死を悲しみ、自らの無力に打ちのめされながら、それでも最善を尽くそうと日々奮闘している。2023/01/09
jjm
6
いろいろな患者に対する医師の感情に言及した書籍。医師が完全だとは誰も思っていないし、誤ることもあるし、腹が立つこともあるのだろう。命を扱う仕事だけに誤診をして欲しくないし、誤りも経験、とは表立っては言えないだろうが、何か起こった際、あるいは起こりかけた際に、それを隠蔽せずに進んで公けにできる環境の構築や、いわゆるヒヤリハット事例や再発防止を講じて業務品質を向上させていくしかないのではないかと思った。2019/04/16
てぬてぬ
6
友達に勧めて頂いて。患者の気持ちについて書かれた本はこれまでもたくさんあった。人間について洞察した医師もたくさんいた。けれどここまで医師自身の感情をメインに扱った本は読んだことがなかった。感情が認知や行動に影響を及ぼすなんて、脳の神経回路をちょっとでも知っていれば当たり前のことなのに、医師だけは例外だと信じられてきた。キーワードは「恐れ」と「恥」かな。医療訴訟が起これば医師と患者のどちらにも経済面、治療面、感情面で被害があるが、弁護士だけは常に利益を得るという指摘が面白かった。弁護士嫌いなんだろうなあ笑2019/02/04