マインド―心の哲学

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  • サイズ B6判/ページ数 395,/高さ 19cm
  • 商品コード 9784255003252
  • NDC分類 114.2
  • Cコード C0095

出版社内容情報

「心とは何か?」――人々の心を捉えて離さない最難問に、現代哲学の第一人者が挑む。

哲学・心理学・生物学・脳科学の最前線である「心の哲学」を舞台に、従来の見解を次々に論破しながら、独自の「生物学的自然主義」を提示。心の哲学への、もっとも包括的で、もっとも新しく、もっとも明快な、魅惑のイントロダクション。

「自分自身が心の哲学について学ぶ際、最初に手に取りたいと思えるような本を書こうと思う」――言語哲学から出発し、近年は心の哲学においても精力的な研究と発言を続けるアメリカの哲学者ジョン・R・サール。哲学者としての円熟味を増したサールが、はじめて一般読者への入門書を書き下ろしました。

昨今の脳ブームは「脳を解明しさえすれば人間の心も説明できる」という風潮すら感じられます。
しかし、心と脳の関係とは、果たして入力信号のオンとオフのように単純なものだったのでしょうか?
サールはこの問題――「心脳問題」がさまざまな誤解のもとにたてられた擬似問題であることを指摘します。

従来の心的/物質的という二元論を廃し、因果的な還元/存在論的な還元、一人称的な存在論/三人称的な存在論という区別を新たに導入した点は本書の肝と言えるでしょう。

これにより、ミステリアスなものとして扱われがちな心を、胃の消化と同様、自然現象のひとつと捉え直し、現代の科学的知見との整合性をはかる――それがサールの提唱する「生物学的自然主義」なのです。


■著者紹介

ジョン・R・サール
1932年、米国コロラド州デンバー生まれ。1959年、カリフォルニア大学バークレー校に赴任、1967年より同教授として今日に至るまで教鞭をとる。言語哲学と心の哲学を主軸に、現在も第一線で研究・発表をおこなう。主著に、『言語行為――言語哲学への試論』(勁草書房)『表現と意味――言語行為論研究』(未邦訳)『志向性――心の哲学』(誠信書房)『心・脳・科学』(岩波書店)『心の再発見』(未邦訳)『意識の謎』(未邦訳)など。2004年、「心の哲学」にかんする業績にたいし米国人文科学勲章を受賞。

■訳者紹介

山本貴光[やまもと・たかみつ]
1971年生まれ。慶應義塾大学環境情報学部卒業。コーエーでのゲーム制作を経てフリーランス。「哲学の劇場」主宰。筆名・八雲出(やくも・いずる)。関心領域は書物、映画、ゲーム、原節子など。著書に『心脳問題』(朝日出版社、吉川浩満との共著)がある。
「作品メモランダム」(ブログ)
http://d.hatena.ne.jp/yakumoizuru/

吉川浩満[よしかわ・ひろみつ]
1972年生まれ。慶応義塾大学総合政策学部卒業。国書刊行会、ヤフーを経て、フリーランス。「哲学の劇場」主宰。筆名・吉田浩(よしだ・ひろし)。関心領域は哲学、単車、ロック、映画、犬など。著書に『心脳問題』(朝日出版社、山本貴光との共著)がある。
「哲劇メモ」(ブログ)
http://d.hatena.ne.jp/clinamen/

「哲学の劇場」(山本貴光と吉川浩満による共同企画ウェブサイト)
http://www.logico-philosophicus.net/
1997年開設。哲学・科学・芸術関連の書評、作家情報などを発信。

内容説明

よく知られている理論、しかも影響力のある理論が、そもそも全部誤っているという点で、心の哲学は、哲学のなかでも類を見ないテーマである。本書の目的のひとつは、そうした誤った理論へ導かれてしまうやみがたい欲求から、真実を救い出すことにある。これまでにも他の著書、とくに『心の再発見』でこの課題に取り組んできた。だが、本書こそが、心の哲学というテーマ全体への包括的な入門書の試みである。

目次

第1章 心の哲学が抱える十二の問題
第2章 唯物論への転回
第3章 唯物論への反論
第4章 意識1―意識と心身問題
第5章 意識2―意識の構造と神経生物学
第6章 志向性
第7章 心的因果
第8章 自由意志
第9章 無意識と行動
第10章 知覚
第11章 自己

著者等紹介

サール,ジョン・R.[サール,ジョンR.][Searle,John R.]
1932年、米国コロラド州デンバー生まれ。1959年、カリフォルニア大学バークレー校に赴任、1967年より同教授として今日に至るまで教鞭をとる。言語哲学と心の哲学を主軸に、現在も第一線で研究・発表をおこなう。2004年、「心の哲学」にかんする業績にたいし米国人文科学勲章を受章

山本貴光[ヤマモトタカミツ]
1971年生まれ。慶應義塾大学環境情報学部卒業。コーエーでのゲーム制作を経てフリーランス。「哲学の劇場」主宰

吉川浩満[ヨシカワヒロミツ]
1972年生まれ。慶応義塾大学総合政策学部卒業。国書刊行会、ヤフーを経て、フリーランス。「哲学の劇場」主宰(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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evifrei

18
心の哲学の概説書的な書籍。心脳問題や自由意思など、心に関連する哲学的事項を歴史的発展をなぞりながら叙述する。サールはその有名さから引用される事も多く(『中国語の部屋』など)、本著で初めて知るところとなった概念は残念ながら殆ど無かったのだが、一つ一つの論点を丹念に扱う筆遣いから心の哲学の全体像を把握するのには適した一冊だと感じた。物理学や心理学などの知見も含まれているので裾野は広い。映像を見て著者の説明を受けているかの様な解りやすい文体で展開されており、個人的には特に自由意思についての記述が興味深く読めた。2020/07/12

またの名

16
ベートーベンの第九を空気中の波の運動に還元したところで取り逃がしてしまうものを捉えるには、現象のミクロな次元ではなく表面的な性質を語る必要があるように、意識においては私にとって現れる見かけの一人称性が重要というのが本書の核の主張。同じ現象を神経細胞レベルと意識システムのレベルのどちらで見ているかの違いなので、著者からすれば心と体を対立とも同一とも語ることはできない。心の領域と物理の領域をデカルトが二元論的に分割して以来、この区別に則っているままでは心身問題は解けない、と断じる。自説も他説もサール流に整理。2017/07/13

meg

14
確かに哲学書としては入門的なのかも。私には歯が立たなかったけれども。難しい言葉ではないが、やはり哲学は難易度。でも著者が冒頭で述べたように、“考えるきっかけ“には触れられた。もっと勉強するぞ!2024/01/25

ken

4
これまで心の哲学がどのように議論されてきたかを概括できる良書。デカルト以降の二元論の問題点、近年勢いをつけてきた物理主義の問題点それぞれを説明し、そこにサール自信の見解や反駁を加える。構成がすっきりしていて入門書として優れている(翻訳のたどたどしさはあるものの)。そこまでは良いとして、いざサールの「生物学的自然主義」の説明になると、分かるような分からないような。「二元論も物理主義も捨てなければならない」とサールは言うが、彼の主張は性質二元論と根本的に何が違うのか→2020/02/14

zirou1984

4
心の哲学の入門書にしてサールの代表的著作。デカルトから始まる心身二元論の系譜とその問題点を整理しつつ、心というものが哲学上どのように扱われてきたのかが把握できるようになっている。また語彙も平易であり、翻訳もこなれているため入門書としては十分な出来。が、肝心のサールの主張がどうにも飲み込めず、有名な「中国人の部屋」にしても志向性の話にしても、いまいち自分の中では消化しきれない。個人的な感覚としては、ダニエル・C・デネットが『解明される意識』で述べている「意識の多元草稿モデル」の方がまだ納得できたのだが。2012/12/29

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