完全なる証明―一〇〇万ドルを拒否した天才数学者

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  • サイズ B6判/ページ数 322p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784163719504
  • NDC分類 289.3
  • Cコード C0098

内容説明

一〇〇万ドルの賞金がかけられた数学の七つの難問のひとつ「ポアンカレ予想」の証明。今世紀中の解決は到底無理と言われたその証明が2002年にインターネット上にアップされる。だが、世紀の難問を解いたその男は、フィールズ賞を拒否し、研究所も辞職、数学界からも世間からもすべての連絡を絶って消えた。ペレルマンと同時代に旧ソ連で数学のエリート教育をうけた著者だからこそ書けた傑作評伝ノンフィクション。

目次

世紀の難問を解いた男
パラレルワールドへの招待
創造への跳躍
天才を育てた魔法使い
数学の天使
満点
幾何学の道に
世界へ
アメリカでの研究
その問題、ポアンカレ予想
証明現る
憤怒
完全なる証明

著者等紹介

ガッセン,マーシャ[ガッセン,マーシャ][Gessen,Masha]
1967年モスクワ生まれ。ユダヤ人であるにもかかわらず選抜され、数学専門学校で学んだ。旧社会主義体制下でのユダヤ人に対する差別を逃れるために、大学進学を待たず、1981年に一家でアメリカに移住した。1991年、ジャーナリストとしてモスクワに戻り、『US News & World Report』誌の特派員の傍ら、自らの二人の祖母が、東欧のユダヤ人として、ホロコーストと、スターリンの圧政をいかに生き延びたかを綴った『Two Babushkas』(2004)などを著している

青木薫[アオキカオル]
1956年、山形県生まれ。京都大学理学部卒、同大学院修了。理学博士。翻訳家。専門の理論物理学を活かしたものから、数学、分子生物学まで、科学書をもっとも美しく訳す訳者としてファンは多い。「幅広い層に数学への興味を抱えせる本を翻訳して、数学の普及に大きく貢献している」として2007年の日本数学会出版賞を受賞している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ミカママ

305
「ポアンカレ予想」どころか、このノンフィクションの主人公である「ペレルマン」という数学者について、何ひとつ知らなかった。その上数学音痴ですらあるので、ただ彼の人生(周囲への取材からの再構築ではあるが)と、スターリン粛清の時代を生き延びた数学者たちの運命について、焦点を当てて読んだ。天才とはなんとまぁ、寂しい人生を余儀なくされることであるか。100万ドルの賞金や、フィールズ賞の名誉まで拒否し、母親とひっそりと暮らす天才を想って、ひたすら切ない(究極の一般人の感想)ラストである。2018/06/26

ケイ

29
ポアンカレ予想を証明したペレルマンについて書かれている。約1世紀間、数学者達が挑み続けた命題。トポロジー等を用いてその一部しか証明できなくても、フィールズ賞授与者数名を生み出す。しかし、彼は違ったアプローチで、数年の沈黙の後に、ネットのアーカイブ上にひっそりと証明を発表した。その世捨て人の様な外見とは裏腹に、すべての名誉と賞金を辞退して純粋に数学のみを追求する彼のクールで潔さに感服する。彼がこのまま世間と隔絶することなく、さらなる探求を続けていけることを、願ってやまない。2013/06/22

たー

17
ポアンカレ予想の証明の話なのかと思ったら、ポアンカレ予想を証明した「人」の話でした。(ポアンカレ予想の解説されても皆目分からないのでそれはそれで良かったですが)。やっぱりこういう変わった(失礼)人が偉大な一歩を踏み出すのでしょうね。余談ですがタイトルは正確に訳して欲しかったですね。2010/02/18

やす

12
ペレルマンの物語。彼の育った数学環境がどんなものだったかをそれこそ20世紀初頭のロシアから解き開かす労作。著者は結局ペレルマン本人には会えないのだが、その分傍証の検証には恐ろしいほどの執念を燃やす。ペレルマンはなぜフィールズ賞を辞退したのか?なぜクレイ賞(100万ドル)を受け取らなかったのか。自己に厳しく、他人にも同じ規律を求めるペレルマンらしい行動だったのか。数学者はどのような人でもやはり変わっているというが、ペレルマンは超ド級である。彼はもう数学はやっていないらしい。ポアンカレ予想の次はリーマン予想や2011/08/22

秋津

10
ポアンカレ予想を証明したペレルマンの伝記。旧ソビエト時代の話がとても面白かった。ソビエトのあの様なユダヤ人差別を少しも知らなかった自分が恥ずかしい。ポアンカレ予想自体は、NHK の番組で興味を持ったけど本書に書いてあることはかなり違うし難しくてよくわからなかった。ただ、オイラーが七つの橋の問題をといた人だと知ることができて良かった。グリーシャには色々と心引かれるものがあった。2016/10/27

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