内容説明
日本各地で、暴れ川の岸辺に「禹」の顕彰碑が立っている。中国最初の王朝・夏の創始者がなぜ、日本で祀られてきたのか。禹王は『古事記』の序文に登場して以来、今日まで日本人の生き方に深い影響を与えてきた。千年の時を越えて庶民に親しまれる君主とは?指導者や詩人たちが尊崇してきた理想の統治者とは?日中の古典、伝承、美術からその人物像を多面的に描き出し、両国に共通する「教養のデータベース」の存在を指摘して漢字がつなぐ文化圏の実相を甦らせる挑戦的な試み。
目次
序章 「治水神」の渡来
第1章 禹王はいかにして日本の神となったか(日本の禹王との出会い;日本に現存する関連文物;禹王とは何者か;禹王はいかにして日本へ伝わったか)
第2章 なぜ、京都御所の襖絵に禹王が描かれたのか(日本の大禹戒酒防微図;天子と禹王;年号「平成」と天皇;『帝鑑図説』との関係;襖絵が描かれた背景)
第3章 なぜ、九尾狐は禹王にとりついたか(禹王のロマンス;東夷としての女嬌;九尾狐から玉藻前へ;禹王碑と「玉藻」あるいは「狐」との隣接)
第4章 どのように禹王は現代に生きているか(禹王に由来する日本語;空海が唐に求めたもの;禹王信仰の新しい効果;引き継がれる禹王)
終章 東アジアで共有される禹王
著者等紹介
王敏[ワンミン]
中国河北省生まれ。大連外国語大学卒、四川外国語学院大学院修了。国費留学生として宮城教育大学で学ぶ。2000年にお茶の水女子大学で人文博士号を取得。現在、法政大学教授。専攻は日中比較文化、国際日本学、東アジアの文化関係、宮沢賢治研究(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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