NHKブックス
偶然を生きる思想―「日本の情」と「西洋の理」

  • ただいまウェブストアではご注文を受け付けておりません。
  • サイズ B6判/ページ数 252p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784140911181
  • NDC分類 112
  • Cコード C1310

内容説明

人生に起こる不意の出来事、たまさかの出会いに対して、私たちはどのような態度をとり、かかわるべきか。真理は必然にのみ宿ると考えたプラトン以来の西洋の論理は、常なるものを求めるゴーチエなど西洋文学にまで貫流する。一方、芭蕉俳句・随筆など日本の伝統的な芸術表現には、偶然を「無常」として甘受する感性が溢れている。日欧の対比をふまえ、偶然の愛を必然に高めたボーヴォワールや西洋哲学の理と日本の情の間で偶然の意味を考えた九鬼周造の思考と生き様を追いながら、偶然を育む道筋を探る珠玉の論考。

目次

第1章 無常の日本美
第2章 分けるという方法
第3章 日本語の論理とはなにか
第4章 偶然の哲学史
第5章 九鬼周造の偶然論
第6章 必然の愛を求めて
第7章 ボーヴォワールとサルトル
第8章 偶然と必然

著者等紹介

野内良三[ノウチリョウゾウ]
1944年、東京生まれ。東京教育大学文学部仏文科卒。同大学大学院文学研究科博士課程中退。静岡女子大学助教授、高知大学教授を経て、関西外国語大学国際関係学部教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ceskepivo

7
日本には、特に明治維新後、西洋の文化が入ってきたが、やはりその土台となる思想が分からないと西洋文化を理解することは困難である。「西洋文化の基底には「対決」のスタンスがある。その「対決」は神対人間(宗教=契約)、人間対自然、(科学=合理主義)、人間対人間(個人主義)という形で現れる。こうした緊張したスタンスこそが饒舌な西洋文化を導いてきたのである」(71ページ)。そうか。2014/07/29

くろねこ

1
比較哲学、偶然論というジャンルに惹かれてなんとなく読んでみた本だけどかなり面白かった。必然や偶然に対する西洋と日本の考え方の違いを歴史や文化を絡めて説明している箇所が面白い。偶然はそもそも起きた事に気がつかないと偶然にもならないし、立場によってそれが偶然にも必然にもなる。アンテナ張って、たくさんの偶然が起こるようにしなきゃね。2014/04/20

ゆうき

1
西洋では必然としての運命、日本では偶然という情という考え方がある。 偶然は行動や選択、他者との関係で生まれその結果、その出来事を必然と考える。車の事故を例にとると事故を起こした当事者たちにとっては偶然だが一連の流れを俯瞰していた人ではお互いの行動が事故という必然の結果をもたらすと考えることが出来る。必然のという運命の中で偶然という開かれた出来事に柔軟に対応することで違う道が開けてくる。偶然から必然へ、必然から偶然によって違う結果になる可能性がある。その為には他者に出会うことと外に向かって行くことが重要だ。2012/11/20

ぼのまり

1
本を読んでいて感じたことは、自分自身を構成している判断軸上にないことが『偶然』として顕在化するのではないか?ということ。別の軸上から観察する場合には、『必然』以外の何ものでもないのかもしれない。2011/07/23

takao

0
偶然を生きるということ2016/11/13

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/403056
  • ご注意事項

最近チェックした商品