NHKブックス
人間の本性を考える〈中〉―心は「空白の石版」か

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  • サイズ B6判/ページ数 267,/高さ 19cm
  • 商品コード 9784140910115
  • NDC分類 140
  • Cコード C1311

内容説明

認知科学や進化心理学、脳科学などの最新知見によって、思考や感情に生得的なパターンが存在することが明らかになった。しかし、人間の本性をめぐる科学は、不平等や差別を正当化し、社会変革をつぶすのではないかという敵意や恐怖心が存在する。豊かな人間本性の発見が、平等・進歩・責任・人生の目的を損なうどころかむしろ向上させることを明らかにし、心を「空白の石版」とみなす相対主義的思考が、普遍的な人間性や生得的特性を否定することで、硬直した人間観・社会観につながることを明快に説く。

目次

3 四つの恐怖を克服する―不平等・不道徳・無責任・ニヒリズム(もし生まれついての差異があるのならば…;もし努力しても無駄ならば…;もしすべてがあらかじめ決定されているのならば…;もし人生に意味がないのならば…)
4 汝自身を知れ―心の設計仕様書(人は世界とふれあう―相対主義の誤謬;直観とその限界;苦しみの根源はどこにあるのか;殊勝ぶった動物―道徳感覚の危うさについて)

著者等紹介

ピンカー,スティーブン[ピンカー,スティーブン][Pinker,Steven]
現在、ハーバード大学心理学研究室教授。視覚認知と幼児の言語獲得についての研究により、米国心理学会から「Distinguished Early Career Award」、および、「McCandless Young Developmental Psychologist Award」受賞。著書に、『心の仕組み』(NHKブックス、ピュリツァー賞文芸ノンフィクション部門最終選考候補、「ロサンゼルス・タイムズ」ブック賞ほか受賞)などがある

山下篤子[ヤマシタアツコ]
北海道大学歯学部卒業。翻訳家
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

absinthe

31
【再読】本書は、人間の個性が生まれ付いての形質に影響を受けると述べただけで恐ろしい迫害を受ける現実を語っています。生まれつきが全てだ等とは誰も言っていないのに。生まれつきが人格に影響を与えると、思考をよぎっただけで、人間に不平等、不道徳、無責任、ニヒリズムが生じてしまうという、とんでもない誤解を冷静に解こうとする本です。 思い込みやプロバガンダの影響を受けるのは哲学であって、自然科学は枠外だというのは大きな誤解です。 冷静な判断が求められるテーマです。 2015/11/29

赤い熊熊

17
至極もっともな事がはっきりと書いてあるのですが、ちょっと冗長になりがちなので途中所々ナナメ読み。ヒトの遺伝的特性を明らかにしたからといって、その悪い癖を肯定してるわけではないということが、タブララサの盲信者にはわからない。竹内久美子さんの本なんかを読むんで「なるほど」と思ったりと、一般にも混同されてしまっているようでもありますね。2017/10/19

記憶喪失した男

10
わたしは、優生学が禁止されるのは、それを行うにはまだ人類は遺伝子に対して無理解すぎるからだと思う。何かひとつの欠点のある遺伝子が見つかっても、欠点のない人間をつくればそれでいいのかといえばちがうから、欠点をなくすことで別の側面の長所が消えてしまうかもしれないという考えが大事だと思った。 2016/07/05

風太郎

9
上巻と比べ、話の内容が散漫になっている感じがしました。一方で道徳、固定観念、愛情等、人間の本性ともいえる部分に切り込んでいる点は興味を覚えます。ただ、著者自身の結論と言えるものは少なく、首肯するというところまではいきませんでした。もしかすると、下巻に結論が書いていて、中巻はその前振りなのかもしれません。否定的な意見を述べましたが、このような幅広い分野に見識を持つ人は少ないのではと思います。読み応えのある本であることには変わりありません。2018/05/09

marukuso

4
本質的に差があったら差別はOKなのか?遺伝的決定論が必然的にもたらす不平等はどう肯定・否定されるのか。そもそも生得説が差別や不平等につながるというのは本当なのかを検証する。2021/12/31

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