出版社内容情報
『吶喊』『彷徨』『故事新編』のテキストを軸に,中国が近代を形成する激動期に魯迅が抱えた苦悩と葛藤を描く.そしてプレモダンからポストモダンへ駆けぬける魯迅の生き様のなかに,現代を生きるわれわれが何を見いだすか.魯迅がのこした「謎」をひもとく.
内容説明
激動の近代中国のなか、古さと新しさの間で苦悩する魯迅の生きざまにみえてくるものとは。
目次
前奏曲 屈辱の青春(一八八一‐一九一七年)
第1部 『吶喊』から
間奏曲1 苦悩と葛藤(一九一八‐二四年)
第2部 『彷徨』から
間奏曲2 躊躇と新生(一九二五‐三〇年)
第3部 『故事新編』から
後奏曲 モダニティを超えて(一九三一‐三六年)
著者等紹介
代田智明[シロタトモハル]
1951年東京都生まれ。1976年東京大学文学部卒業。1982年東京大学大学院人文科学研究科博士課程満期退学。茨城大学、東京女子大学を経て、東京大学大学院総合文化研究科教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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荒城
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森田童子と魯迅って合う部分あるのか。森田童子は動けなくなっちゃった人だけど。2012/03/25
湯豆腐
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魯迅の第2小説集『彷徨』の「酒楼にて」の感傷を森田童子の「ぼくたちの失敗」を引き合いに出して語るくだりに激しく共感した。同じ『彷徨』中の「傷逝」を読んだときにまさに「これは『ぼくたちの失敗』だ…」と感じたので解釈一致。著者のテクスト分析と伝記的事実の組合せによる読解は説得力がある。私が魯迅の作品に漠然と感じていた精神的NTR感というか敗北の予感の正体が言語化できてきた。2022/07/14