漢字圏の近代―ことばと国家

漢字圏の近代―ことばと国家

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  • サイズ B6判/ページ数 222p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784130830423
  • NDC分類 801
  • Cコード C1080

出版社内容情報

東アジアでは、公的には漢字を共有しながら離脱をはかる過程が「近代」であった。言語のなりたちを歴史の中に位置づけ、漢字圏という広い時空の中で比較する試み。

内容説明

離脱をめぐるせめぎあい。言語とナショナリズムが織りなす「近代」を中国、台湾、朝鮮/韓国、ベトナム、日本の比較から解き明かす。

目次

序 漢字圏の言語
第1部 ことばと権力(台湾の近現代と二つの「国語」;国語・日本語・帝国―言語的暴力をおおいかくすもの;しゃべるな危険―17‐20世紀中国の女のことば)
第2部 古典からの離脱(漢文の命脈―古典文から今体文へ;近代中国における文学言語;鬼を打つ―白話、古文そして歴史)
第3部 異なる文字体系の狭間で(近代ベトナムにおける「漢字」の問題;朝鮮語と漢字;地域語で書くこと―客家語のケース(1860‐1910))

著者等紹介

村田雄二郎[ムラタユウジロウ]
中国近代史。東京大学大学院総合文化研究科・教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

へくとぱすかる

52
歴史が進むにしたがって、社会をどのように近代化・現代化していくか、言葉の問題もその中の要素として、大きな問題のひとつだろう。東アジアでは、文字をどうするかという点に問題が傾きがちなことが、本書を読んでもよくわかる。ことばの持つ「暴力」「権力」という問題は、今でも非常に重要だろう。侵略戦争や女性差別などとからむ歴史を学ぶには、大変参考になる。魯迅の弟・周作人が、作家として大きな影響を与えていたとは知らなかった。著作の訳書が最近出ているようなので、読んでみたい。2019/05/05

isao_key

3
この本は2002年10月-2003年2月にかけて東京大学駒場キャンパスで開講されたテーマ講義「漢字文化圏の言語と近代」をまとめたもの。各言語の専門家による論文が10編載せられている。中でも興味深かったのが、齋藤希史「漢字の命脈」。漢文の果たしてきた役割と日本の漢文教育について考察している。近代以前の学問といえば、第一は漢籍を学ぶということであった。近世後期に寛政の改革の一環として昌平黌を中心とする教学体制が強化される。明治維新の立役者となったのは、こうした均質化された漢文教育を受けた世代だった。2012/10/05

テッテレこだち

1
東大の学部生向け連続講義を元にした、漢字を使用する/していた国における、言語とその筆記についての概説書。タイトル通り近代国家による言語教育等の話題が多く、とりあげられている国は日本、中国、台湾、ベトナム、朝鮮半島など幅広いが、特に中国の話題が多い。日萄辞書みたいなのが客家語にもあったんだなあ…とか、「母語でない筆記言語」としての漢字の取り扱いパターンの違いは読んでいて面白かった。2024/04/13

ひろし

1
日本、中国、朝鮮、ベトナムにおいて特に近代以降になり顕著になった漢字をめぐる諸問題について。全9章建てで漢字とナショナリズム、台湾、帝国期の日本、中国語の女言葉、漢字圏での漢文の意義、ベトナム、朝鮮においての中国語、宣教師がみた近代中国と客家語。初学者がわかりやすいよう簡潔に興味を惹かれるように構成されている。言語は、それを用いる人間の主体的意識から離れて客観的に存在する対象だと錯覚してしまいがちだが、我々のふるまいは使用する言語によって規定される部分が少なくない。「近代を超克する対抗的な文化価値としての2012/04/27

Louis9th

1
ブログに。 http://gensohnote.blog.fc2.com/blog-entry-5.html2012/03/05

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