内容説明
苦悩と挫折を乗り越えて不朽の仕事を残した物理学者たち。歴史、文学、音楽、映画などの話題を織りまぜて、彼らがいきいきと生きていた街角に読者を案内し、彼らの実像にせまる珠玉エッセイ集第4弾。歩きに歩いて物理学者を探す著者の旅行記が楽しい。ほかでは見ることができない貴重な写真も満載。
目次
ラウレルの木は高くそびえて―リーマン
それでも人生は美しい―エトヴェシュ
黄金球のある家―ヴェーバー
アルバート橋のたもとで―ジュール
白と鼠と青色と―ジェルマン
きゅうりのサラダ―アインシュタイン
魔の山―プランク
カフェオデオン―パウリ
青銅の獅子―ガウス
プラハ城の家庭教師―コーシー
いるかの声が聞こえる―シラード
アルモニカのための幻想曲―フランクリン
チミテーロ・ディ・クアレーニャ!―アヴォガードロ
ブレーラ宮殿―モッソッティ
海賊の町―モーペルテュイ
サンドミニク通りの恋人―ダランベール
コペンハーゲン掃苔記
著者等紹介
太田浩一[オオタコウイチ]
1967年東京大学理学部物理学科卒業。1972年東京大学大学院理学系研究科物理学専攻修了。理学博士。1980‐2年マサチューセッツ工科大学理論物理学センター研究員。1982‐3年アムステルダム自由大学客員教授。1990‐1年エルランゲン大学客員教授。現在、東京大学名誉教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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壱萬弐仟縁
8
とても一見したところ、東大出版会とは思えない。しかし、開いてみると、やはり東大。写真も多用され、文章も本格的。物理学者の周辺がみてとれる。建物や町並みをも拝見でき、まちづくりの本として本でも差支えない。銅像も立派なものが多い。カフカも出てくる。プラハ城の家庭教師というのは興味深い(139頁~)。物理をやっておくべきであった。2013/06/07
ぽん
1
「さあ、ミラーの駅に集合です。」文豪や歴史的人物の背景を巡る、とは良く聞くけども。でも、これらの方々も世界的発見者の素晴らしい人達で。その時代のあの人たちや出来事、その時々が巡り浮かんできます。ただひとつ残念なことは、自分が公式や数式を理解出来てないということ。2010/12/24
Steppenwolf
0
G正月から同じ著者のエッセイ兼数学者物理学者の伝記を立て続けに読んでしまった.今回の16名のなかでは名前を知らない人はいなかった.ただ何人か名前しか知らぬ人もいる.本編とは無関係の感想を書いておきたい.それはソ連ロシアやウクライナ出身者の扱いが少ない点である.例えばランダウとか名前だけ出てくるヨッフェとか.ただソ連及びその終焉のせいで見つからないのかもしれないし,著者の旅路には入っていなかったせいかもしれぬ.それでも本シリーズは楽しい読書であることは断言する.2022/01/24