出版社内容情報
移民・マイノリティの若者が集住するパリ「郊外」を起点に、フランス主流社会とマイノリティとの亀裂に迫る。
パリの襲撃事件以来,注目を集める「ホームグロウン」の若者たち.そのような移民・マイノリティの若者が集住する「郊外」はどのように形成されたのか.「郊外」を起点にフランス主流社会とマイノリティの亀裂をたどり,暴力の背後にある排除と抵抗の実態にせまる.
序章 フランス主流社会とマイノリティの亀裂を問う
1 フランスの移民統合の理想と現実――OECDの比較調査から
2 移民からエスニック・マイノリティへ――呼称変化とアプローチの転換
3 郊外「セーヌ・サン・ドニ県」への注目
1章 フランス郊外研究の視座――空間と結びついたマイノリティの差別と排除
1 日本とは異なる郊外像
2 モラル・パニックとメディア,政治空間
3 先行研究における「郊外」の位置づけ
4 本書の枠組み――差別,排除,レイシズム
5 本書の方法と構成
2章 多様化する郊外とマイノリティ
1 「移民」と「郊外」の関係を整理する
2 郊外をめぐる複数の空間的アプローチ
3 「移民」と居住の多様化――中産階級の台頭
4 「移民」カテゴリー内部における分極化の進行――郊外貧困地区の状況の悪化と時間的変化
5 「郊外問題地区」の類型化とセーヌ・サン・ドニ県の事例
3章 排除空間の形成と国家の役割――フランス的例外か?
1 「マイノリティ集住地区」としての郊外はどのように形成されたのか
2 工業地区の郊外
3 団地の郊外
4 移民の郊外
5 結びにかえて――排除空間としての郊外と国家
4章 「赤い郊外」の変容と都市政策の展開
1 問題設定
2 「都市政策」の誕生と展開
3 脱工業化のインパクトと「赤い郊外」の変容
4 市政と住民をつなぐ新たな媒介の模索
5 「都市問題」という解読格子の誕生と定着
6 階級問題から「都市問題」へ――「赤い郊外」における解読格子の変化
5章 再生事業と住民コミュニティへの影響
1 地域社会の底上げか,下層マイノリティの排除か?
2 「ソーシャル・ミックス」の評価
3 住民はどこに行ったのか?
4 「ミックス」の実情と課題
5 都市政策と地域社会の再編
6章 郊外マイノリティの多様な抵抗
1 エスニック・マイノリティの若者たちをめぐる参加と抵抗
2 アソシエーション活動を通した抵抗――文化表現から政治活動へ
3 問題化される「参加」――ラップの事例
4 おわりに
7章 風刺新聞社襲撃事件と「見えない断絶」――フランス統合モデルの限界・弊害とマイノリティの疎外
1 追悼デモに来なかった「郊外の住民」たち
2 事件直後の「郊外の住民」の反応
3 「テロ対策」としての3つの改革――治安,教育,郊外
4 カラー・ブラインド原則とその実態――まなざしの人種化
5 文化的統合の深化と(それゆえの)問題化というパラドクス
6 ダブル・スタンダードが生み出す問題
7 プラグマチークな解決にむけた道のり
終章 脱領域的なマイノリティ研究をめざして
1 亀裂を生じさせる二重の「乖離」
2 郊外の比較社会学に向けて――変容する日本の郊外へのまなざし
3 「客観性」としてのマイノリティの視座
文献一覧
あとがき
地名・人名索引
事項索引
【著者紹介】
森 千香子
森 千香子:一橋大学大学院法学研究科准教授
目次
序章 フランス主流社会とマイノリティの亀裂を問う
1章 フランス郊外研究の視座―空間と結びついたマイノリティの差別と排除
2章 多様化する郊外とマイノリティ
3章 排除空間の形成と国家の役割―フランス的例外か?
4章 「赤い郊外」の変容と都市政策の展開
5章 再生事業と住民コミュニティへの影響
6章 郊外マイノリティの多様な抵抗
7章 風刺新聞社襲撃事件と「見えない断絶」―フランス統合モデルの限界・弊害とマイノリティの疎外
終章 脱領域的なマイノリティ研究をめざして
著者等紹介
森千香子[モリチカコ]
1972年東京生まれ。フランス社会科学高等研究院博士課程修了。2005年より南山大学外国語学部専任講師、2008年より同准教授。現在、一橋大学大学院法学研究科准教授。博士(社会学)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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