出版社内容情報
沖縄(ウチナー)は,薩摩による侵攻以後現在にいたるまで,第二次世界大戦後のアメリカによる占領支配をはさんで,日本(ヤマト)に支配されてきた.アメリカ軍の基地問題を中心に,沖縄という〈地域〉にもたらされた収奪と解体,国家システムへの同化の力を考察し,沖縄の自立への道を展望する.
内容説明
ウチナーには全国における米軍専用施設の75%が集中し、平和に対する危機、基地があるゆえの被害・暴力にさらされ、ヤマト国家権力のあからさまな支配と経済・社会・文化・生活のヤマト化過程のなかで、社会問題が多発し、ウチナーの文化と生活及びこれまでの共同関係の解体や海山などの自然環境破壊が進行している。ヤマト国家及びその背後にいるアメリカ国家そのものだけがこれにかかわってきたわけではない。個々のヤマトンチュ(ヤマト人)も加害者であることを認識しておきたい。政治・経済・社会・文化の統一性をもっていた1つの国を、これほどまでに収奪し解体し国家のシステムのなかに組みこもうとする論理とは一体何なのであろうか。これを問うために本書では、ヤマト国家権力の沖縄政策とそれによるウチナーの社会変動と問題情況を実態的にとらえるなかで、ヤマト国家による支配・収奪・差別と、それに対するウチナーの対応の論理を明らかにする。
目次
序章 問題提起と分析視点
1章 ヤマト公的システムとウチナーの周辺化
2章 軍事基地化のなかのウチナー
3章 基地問題と基地闘争―反撃するウチナー
4章 施政権返還と沖縄開発―ヤマト化するウチナー
5章 普天間基地移設問題とウチナー
終章 ウチナー自立への展望
著者等紹介
山本英治[ヤマモトエイジ]
1931年富山県に生まれる。1953年富山大学文理学部卒業。1973年東京女子大学教授。1997年中国・日本学研究センター客員教授。2000年常磐大学教授。現在、東京女子大学名誉教授。専攻は地域社会学・アジア社会文化論
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